10年前に“AIの衝撃”を予言した男、2030年の世界を語る ―「ほとんどのニュースはAIが書く」

10年前、AI(人工知能)がまだ一部の専門家の間でしか語られていなかった時代に、その革命的な影響を正確に予言した一人のエンジニアがいる。ウルグアイ出身のフェデリコ・パスクアル氏だ。
2014年、彼はTEDxの講演で「AIは、我々が知る仕事のあらゆる側面に影響を与えるだろう」と警告。当時、多くの人々は彼を「クレイジーだ」と笑ったが、10年も経たないうちに、彼の予言は驚くべき精度で現実のものとなった。
「狂人」と呼ばれた先見の明を持つ彼が、今度は「2030年の世界」について、新たな予言を語った。
10年前に語られていた“恐るべき未来”
2014年の講演で、パスクアル氏はこう語っていた。「ある専門家は、2030年までに我々が読む記事やニュースの90%近くが、同様のシステム(AI)によって書かれるようになると予測している」。さらに、著名な未来学者レイ・カーツワイルの言葉を引用し、「2029年までに、コンピューターは人間と同じ認知レベルに達するだろう」と付け加えた。
当時、彼はウルグアイのAI企業で働いていたが、その話はあまりに「未来的」で、多くの聴衆には現実味のないものと受け取られた。「ほとんどの人は、私がクレイジーか、大げさに言っているだけだと思っていた」と彼は振り返る。
しかし、その後のAIの進化は、彼の予想を遥かに上回るスピードで進んだ。特に、2017年にGoogleが発表した「Transformer」アーキテクチャに関する論文が、すべてを変える転換点になったという。「今日、OpenAIやDeepMindのすべてのモデルは、あの論文に基づいている」と彼は指摘する。
2030年、生き残る仕事、消える仕事
10年前に「狂人」と呼ばれた男は今、ベルリンを拠点にソフトウェアを開発し、6つのテクノロジースタートアップのアドバイザーを務めている。そんな彼が予測する「2030年の世界」とは、どのようなものだろうか。
彼は、「AIがすべての労働者を置き換えるとは考えていない」と語る。しかし、自動化の波は、まず各専門職の「最も基本的な機能」から襲いかかると予測する。
「基本的な作業は自動化される。しかし、方向性を示し、判断を下し、あるいは“センス”を提供する才能のある人々は、依然として鍵となるだろう」。
つまり、単純な作業や情報整理はAIに任され、人間にはより高度な創造性や判断力が求められるようになる、というわけだ。

AI開発の暴走と、置き去りにされる“安全性”
一方で、パスクアル氏は現在のAI開発のあり方に強い懸念も表明している。巨大テクノロジー企業が、安全性よりも市場での優位性や権力を優先しているというのだ。
「もし非常に強力なモデルを開発したとしても、企業はそれが安全であると確信するまで待つことはない。競合に遅れを取りたくないから、とにかく市場に投入する。安全性の問題は、置き去りにされているのだ」。
彼は、技術そのものが未来を決めるのではなく、我々がそれにどう対処するかが重要だと強調する。「テクノロジーは進化し続ける。重要なのは、我々がそれにどう向き合うかだ」。
「今日、必要なのはコンピューターか携帯電話、そしてインターネット接続だけだ。それさえあれば、誰でもChatGPTのようなツールを使うことができる。あとは、それを試してみようという意欲と好奇心だけなのだ」。
10年前に未来を正確に見通した男の言葉は、AI時代を生きる我々にとって、希望であると同時に、厳しい警告でもある。彼の予言する2030年に、我々はどのような未来を選択しているのだろうか。
参考:Daily Star、ほか
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2024.10.02 20:00心霊10年前に“AIの衝撃”を予言した男、2030年の世界を語る ―「ほとんどのニュースはAIが書く」のページです。人工知能、2030年、AIなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで