「墜落しない飛行機」がついに実現? AIが墜落を予測、巨大エアバッグで機体を守る新技術とは

もし飛行機が墜落しても乗客乗員が全員助かるシステムがあったなら――。そんな夢のような話が、現実のものになるかもしれない。ある大惨事をきっかけに、2人の若きエンジニアが考案した画期的な航空機安全システム「プロジェクト・リバース」が、今、世界中の注目を集めている。
そのアイデアは、自動車でおなじみのエアバッグを、巨大化して飛行機に応用するというものだ。見た目は少し奇妙かもしれないが、この技術は、年間何千人もの命を救う可能性を秘めている。
AIが墜落を予測、巨大エアバッグが機体を包む
「プロジェクト・リバース」の核心は、AIを活用した墜落予測・生存システムにある。
航空機のセンサーとAIソフトウェアが、高度、速度、エンジン状態、火災の有無、そしてパイロットの反応などを常に監視。高度3000フィート(約914メートル)以下で墜落が避けられないと判断すると、システムが自動的に作動する。
作動からわずか2秒以内に、機体の機首、胴体下部、尾部から巨大なエアバッグが瞬時に展開。これらのエアバッグは、機体全体を包み込む巨大な繭のような役割を果たし、地面との激しい衝突や爆発を防ぐ。
着陸時の衝撃は避けられないかもしれないが、壊滅的な破壊は回避され、乗客と乗員は安全に地上に降り立つことができるという仕組みだ。

発想の原点は「大惨事の悲しみ」
この革新的なシステムを考案したのは、ドバイにあるビルラ工科大学のエンジニア、エシェル・ワシム氏とダルサン・スリニヴァサン氏だ。世界的な発明コンテスト「ジェームズ・ダイソン・アワード」の最終候補にも選ばれたこのプロジェクトは、今年起きたある悲劇から生まれた。
2025年6月12日、インドのアフマダーバード空港を離陸したエア・インディア171便が、わずか32秒後に墜落し、乗客乗員260人全員が死亡するという大惨事が発生。エンジニアの一人は、「あの事故の後、母は眠れなくなってしまった。乗客やパイロットが感じたであろう、逃げ場のない恐怖を思い続けていた」と語る。
「その無力感が、私たちを突き動かした。『なぜ、故障した後の生存システムがないのか?』と。その感情的な嵐が、何時間もの研究と設計につながったのです」
既存の航空機にも搭載可能―生存への新たな希望
「プロジェクト・リバース」は、エアバッグだけでなく、複数の安全機能を組み合わせている。緊急時にエンジンがまだ機能していれば、逆噴射で降下速度を落とす。エンジンが停止している場合は、ガススラスターが作動し、機体を安定させる。さらに、客室の壁や座席の背後には、衝撃吸収性の液体が注入されており、普段は柔らかいが、衝撃を受けると瞬時に硬化して乗客へのダメージを軽減する。

このシステムは、既存の航空機に後付けすることも、新しい機体に組み込むことも可能だという。
ほとんどの航空安全システムは、事故を「防ぐ」ことに重点を置いている。しかし、「プロジェクト・リバース」は、そのすべてが失敗した時に「生き残る」ための備えだ。「この発明は、単なる革新ではない。すべてのシステムが故障しても、人々には生きるチャンスがあるべきだという、我々からの約束なのです」と、開発チームは力強く語った。
この「悲しみから生まれた発明」が、いつか本当に空の安全を根底から変える日が来るのかもしれない。
参考:Daily Mail Online、ほか
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