1万2560年前の“オーパーツ”か、巧妙なデマか ― 謎の球体「ブガの球体」の年代測定を巡る大論争

コロンビアで発見され、異世界の遺物ではないかと物議を醸してきた謎の球体「ブガの球体」。多くの人々が現代のデマだと一蹴してきたこのアーティファクトが、再び世界の注目を集めている。
そのきっかけは、UFO情報開示運動の第一人者であるスティーブン・グリア博士が、自身のX(旧Twitter)アカウントで公開した一枚の放射性炭素年代測定報告書であった。

ヤンガードリアス期に遡る“ありえない”年代
ジョージア大学の応用同位体研究センターに所属するアレクサンダー・チャーキンスキー博士(同位体分析の専門家)が署名したその報告書は、衝撃的な内容であった。「ブガの球体」から採取された樹脂サンプルの年代が、1万2560年前のものであると結論付けていたのだ。
この年代は、地球が突如として寒冷化し、巨大動物が絶滅、そして人類がようやくギョベクリ・テペのような巨大神殿を建設し始めた「ヤンガードリアス期」と完全に一致する。
もしこの測定結果が真実ならば、「ブガの球体」は現代の産物などではなく、大洪水や地球規模の大変動によって失われた、忘れ去られた超古代文明の遺物であるということになる。グラハム・ハンコックがNetflixのシリーズで描いた、あの失われた世界の痕跡が、今ここに現れたというのだろうか。
科学者たちが指摘する報告書の“致命的な欠陥”
しかし、科学の世界は、それほどロマンチックではない。この衝撃的な報告書に対し、科学者や専門家たちから、次々と厳しい指摘が浴びせられた。
樹脂の年代測定における問題
化学者たちは、現代の接着剤や樹脂が、年代測定の結果を大きく歪める可能性があると警告する。石油由来の合成化合物と生物由来の化合物を混ぜ合わせた工業用樹脂は、皮肉なことに、約1万2500年前という年代を示してしまうことがあるというのだ。これは偶然の一致か、それとも単なる化学のトリックか。
Grok just tore apart the Buga Sphere paper! The forgery was so sloppy they couldn’t even get the line spacing right. As I said in my interviews with @chrisramsay52 — the Buga Sphere is a fake, and so is this paper.#ufotwitter #uaptwitter #uap #ufoX @rosscoulthart @joerogan… https://t.co/sEWzHWl3ge pic.twitter.com/HPy7n6YHAJ
— Patrick Jackson (@PatrickQJackson) September 22, 2025
報告書の杜撰(ずさん)さ
さらに、報告書そのものの杜撰さを指摘する声も多い。ある研究者は、「報告書の書式が崩れており、行間さえも修正されていない。この報告書も偽物だ」と断罪。別の画像分析家は、「報告書に記載された依頼主の会社名が間違っているだけでなく、分析サンプルとして海洋生物の殻(有孔虫)のデータが引用されている。樹脂を分析したのではなかったのか?」と、致命的な矛盾点を突きつけた。
And they expect to be taken seriously and for us to accept that figure (12,560 years…) as definitive, when they can’t even manage to spell the company’s name correctly in the report? They really need to take a hard look at themselves… pic.twitter.com/zeVFjQJPzD
— Javier Domínguez ‘Jadoga’ (@JadogaPhotoArt) September 21, 2025
謎は深まる―本物のオーパーツか、巧妙な情報操作か
「ブガの球体」は、かつてメキシコのUFO研究家ハイメ・マウサン氏によって世界に紹介され、「ありえない球体」として話題を呼んだ。そして今、その年代測定が、新たな、そしてより大きな論争を巻き起こしている。
これは、失われた文明の本物の遺物なのだろうか。それとも、マウサン氏が過去に何度も提示してきた、「事実」という名の重りの下で萎んでいった数々の“ありえないアーティファクト”の、新たな一つに過ぎないのだろうか。
最も不気味なのは、この球体が1万2560年前のものか、あるいは安物の接着剤で作られた現代の偽物か、ということではないのかもしれない。本当に不気味なのは、信じたいという人々の願望を利用し、異端の考古学とセンセーショナリズムの境界線を、いかに簡単に、そして危険なほど曖昧にできてしまうか、という事実である。
もし、この球体が本物だとしたら、一体誰が、何のために、これを作ったのか?
そして、もしこれが偽物だとしたら――マウサン氏は次の記者会見で、また別の“何か”を手に、微笑んでいるかもしれない。
参考:Espacio Misterio、ほか
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2024.10.02 20:00心霊1万2560年前の“オーパーツ”か、巧妙なデマか ― 謎の球体「ブガの球体」の年代測定を巡る大論争のページです。放射性炭素年代測定、ブガの球体などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで