ホーキング博士とアインシュタインは正しかった!ブラックホール衝突で「事象の地平線」が増える現象、ついに証明

ブラックホールについてアインシュタインとホーキング博士の見解はやはり正しかった――。2つのブラックホールが衝突・合体する際に発生する重力波を詳しく分析してみると、「事象の地平線」の総面積が合体後に増えていたのだ。
■ホーキング博士の予測は正しかった!
2つのブラックホールが衝突、合体すると放出される重力波は地球上の高感度機器で検出可能で、科学者はブラックホールの質量と回転速度を推定することができる。
2015年に科学者たちは2つのブラックホールの衝突によって生じる重力波を初めて検出したのだが、この10年間の観測機器の進歩はめざましく、現在ではより詳細な観測が可能となっている。
2025年1月にLIGO(レーザー干渉計重力波観測所)によって記録された、これまでで最も鮮明なブラックホール合体信号である「GW250114」の観測によって、アルバート・アインシュタインとスティーブン・ホーキングによる重要な予測を裏付けられたのだ。
ニューヨーク市にあるフラットアイアン研究所計算天体物理学センターの天体物理学者、マキシミリアーノ・イシ氏とウィル・ファー氏をはじめとする国際的な合同研究チームが今年9月に「Physical Review Letters」で発表した研究では、この「GW250114」の観測データを詳細に分析している。
1963年、物理学者のロイ・カーはアインシュタインの一般相対性理論を用いて、ブラックホールを一つの方程式で数学的に記述した。この方程式は天体物理学上のブラックホールが、スピンと質量という二つの特性だけで記述できることを示すものであった。
今回得られたより高品質なデータにより、科学者たちは合体したブラックホールの重力波が振動する現象であるリンギング(Ringing)の周波数と持続時間をこれまで以上に正確に測定することができた。これにより、合体したブラックホールは質量とスピンだけで記述できる単純な物体であることが確認されたのだ。
そしてこれらの観測によって、スティーブン・ホーキングが提唱した「ブラックホール面積定理」の正しさが証明されることになったのである。

「ブラックホール面積定理」は、ブラックホールの「事象の地平線」の大きさは、常に大きくなるという定理である。この定理が成り立つかどうかを検証するには、ブラックホールの合体前後の特別な観測が必要なのだが、2015年に初めてブラックホールの合体が検出された時点では、こうした検証は不可能であった。
しかし今や解像度が4倍向上した新たなデータを分析することによって、合体前の2つのブラックホールの「事象の地平線」の総面積と、合体後の単一ブラックホールの「事象の地平線」の面積を正確に測定し、合体後には面積が増えていることが確認されたのだ。ホーキング博士の予測は正しかったのである。
今年1月の検出以降はまだブラックホールの合体による重力波はまだ検出されていないのだが、今後10年間で検出器の感度は現在の10倍になり、ブラックホールの特性をより厳密に検証できることが見込まれている。
「ブラックホールから放出される音波を聴くことは、ブラックホールが作り出す極限時空の性質を理解するための最大の希望です」と、ストーニーブルック大学の教授でもあるファー氏は語る。
「今、私たちはこれらの驚くべきプロセスを実際に観察できる立場にあります。これはこの分野がこれまでどれほど進歩してきたか、そしてこれからも進歩し続けることを浮き彫りにしています」とイシ氏は今後の展望について言及している。
次に検出される重力波の観測で、どこまでブラックホールの謎に迫ることができるのか期待は膨らむばかりだ。
参考:「SciTechDaily」ほか
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2024.10.02 20:00心霊ホーキング博士とアインシュタインは正しかった!ブラックホール衝突で「事象の地平線」が増える現象、ついに証明のページです。ブラックホール、アインシュタイン、重力波、ホーキングなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで
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