ホーキング博士の理論が導き出した「時間そのものが消滅する日」と、宇宙の“思ったより早い”終わり方

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Image by Alexander Antropov from Pixabay

 宇宙は永遠に膨張し続けるのか、それとも再び収縮するのか。全てがブラックホールに飲み込まれるのか、あるいは太陽の爆発が引き金となるのか…。宇宙の終焉をめぐる問いは、何十年もの間、科学者たちの頭を悩ませてきた。

 しかし、オランダのラドバウド大学の研究チームが、20世紀最高の物理学者の一人、スティーヴン・ホーキング博士の理論を発展させ、この究極の謎に対する一つの答えを導き出した。そして、その答えは、私たちが想像していたよりも遥かに早く「終わり」が訪れる可能性を示唆している。

ホーキング博士は正しかった – ブラックホールは永遠ではない

 かつてアインシュタインの理論では、ブラックホールは全てを飲み込み、成長し続ける一方だと考えられていた。しかし、ホーキング博士はそれに異を唱えた。「ホーキング放射」として知られる彼の理論は、ブラックホールがエネルギーをゆっくりと放出し、最終的には蒸発して消滅することを示唆したのだ。

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By ASA/Paul Alers – File:Stephen hawking 2008 nasa.jpg, Public Domain, Link

 この「ブラックホールは永遠ではない」という画期的なアイデアを基に、ラドバウド大学の研究チームは宇宙全体の寿命を再計算した。

 これまで、宇宙は「1の後ろに0が1100個も続く」ほどの、ほぼ無限に近い時間、存続すると考えられてきた。しかし、ホーキング博士の理論を適用して計算したところ、その寿命は「わずか」10の78乗年、つまり1の後ろに0が78個続く年数しかないことが示されたのだ。

 もちろん、これも想像を絶するほど長い時間であることに変わりはない。しかし、従来の予測と比較すれば、宇宙の終焉は劇的に早まったと言えるだろう。

宇宙の最期は、冷たく、暗く、そして静か

 では、その「終わり」はどのような姿をしているのだろうか。

 宇宙に存在する全ての星が燃え尽き、全てのブラックホールがホーキング放射によって蒸発しきった後、そこには絶対的な無が訪れる。物質が存在しなければ、出来事も起こらない。そして、出来事がなければ、私たちが知る「時間」という概念そのものが意味をなさなくなる。

 宇宙の最期は、爆発的な破壊ではなく、全てが静かに消え去り、冷たく暗い“無”だけが永遠に広がる、というものになるのかもしれない。

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人類は「終わり」を目撃できない

 心配する必要はない。この宇宙規模の終焉が訪れるずっと前に、私たちの地球、そして人類は姿を消している。

 ホーキング博士自身も、人類が地球の資源を使い果たし、自らの手でこの惑星を「火の玉」に変えてしまう可能性を警告していた。それは、数百年という、宇宙の寿命に比べれば瞬きにも満たない時間のうちに起こりうることだ。

 また、別の可能性として、宇宙の膨張を加速させている謎の力「ダークエネルギー」が、いつかその力を失うという説もある。もしそうなれば、宇宙は永遠に広がるのではなく、自らの重力で収縮に転じ、一点に潰れてしまう「ビッグクランチ」を迎えるかもしれない。

 いずれにせよ、人類が宇宙の終わりを目撃することはないだろう。私たちの惑星が誕生してから約45億年、ホモ・サピエンスが存在してきたのは、わずか30万年。宇宙の壮大な物語の中で、私たちはほんの一瞬の登場人物に過ぎないのだ。

 しかし、そのわずかな時間の中で、太陽系を超えて新たなフロンティアを目指すだけの時間は、まだ残されているのかもしれない。イーロン・マスクらが描く宇宙進出の夢は、人類という種が、母なる惑星の運命を超えて存続するための、唯一の希望なのかもしれない。

参考:The Pulse、ほか

TOCANA編集部

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