太陽系に飛来した3番目の恒星間天体「3I/ATLAS」は“エイリアンの探査機”か? 科学者たちが本気で探す“宇宙人の痕跡”

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ハッブル望遠鏡 3I/ATLAS(2025年7月21日)— Wikimedia Commons(パブリックドメイン)

 2025年7月、天文学者たちによって3番目の「恒星間天体」が発見された。その名は「3I/ATLAS」。太陽系の外からやってきたこの謎多き訪問者は、その正体をめぐり世界中の注目を集めている。

 入手可能なデータは、この天体が「彗星」であることを強く示唆している。しかし、その一方で「これは地球外文明が送り込んだ技術の塊ではないか?」という、SFのような議論も巻き起こっているのだ。

 そして今、国際的な天文学者チームが、「太陽系を通過する恒星間天体こそ、地球外テクノロジーの痕跡を探す絶好の機会だ」と主張する論文を発表。科学界が本気で「エイリアンの探査機」を探し始めた。

オウムアムアの再来? 恒星間天体に秘められた謎

 そもそも、なぜ科学者たちは恒星間天体が人工物である可能性を考えるのだろうか。そのきっかけは、2017年に発見された史上初の恒星間天体「オウムアムア」に遡る。葉巻のような奇妙な形をしていたこの天体は、太陽の重力だけでは説明のつかない謎の加速を見せた。

 ハーバード大学の著名な天文学者アヴィ・ローブ教授らは、この動きが「地球外文明の宇宙船である可能性」を示唆していると指摘し、大きな論争を巻き起こした。

 今回の「3I/ATLAS」や2番目に発見された「2I/ボリソフ」も、観測上は彗星としての特徴を持っている。しかし、それでもなお、科学者たちは「もしもの可能性」を排除していない。人類自身がすでに何機もの探査機を太陽系の外へ送り出している以上、他の文明が同じことをしていても不思議ではないからだ。

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イメージ画像 Created with AI image generation (OpenAI)

宇宙を旅する「ヒッチハイカー」たち

 新しい論文では、地球外文明の技術が、彗星や小惑星といった自然の天体に便乗して、いわば「ヒッチハイク」しながら恒星間を旅してくる可能性が指摘されている。そのシナリオは、実にSF的で刺激的だ。

休眠状態の探査機:長い旅の間は休眠し、太陽のような恒星に近づいた時に目覚めて活動を開始する。

天体の内部に隠された技術:天体の表面下に探査機が埋め込まれており、太陽の熱で表面の氷が溶け(昇華し)、内部の機械が露出・起動する。

機能停止した遺物:何らかの理由で機能停止した宇宙船や探査機が、遺物として漂っている。

ワールドシップ(世代宇宙船):小惑星などを改造して作られた巨大な宇宙船。内部に居住空間を持ち、何世代にもわたって宇宙を旅する「宇宙のノマド」が乗っているかもしれない。

 研究チームは、「恒星間の距離はあまりに広大であるため、地球外文明にとって、直接通信するよりも物理的な探査機を送る方が有利な場合がある」と指摘する。

「本物」を見分ける4つの方法とは?

 では、単なる岩石と地球外文明の技術をどうやって見分けるのか? 論文では、以下の4つの調査方法が提案されている。

・異常な軌道:ガス噴出など自然現象では説明できない、不自然な加速や進路変更。
・異常なスペクトルや色:人工的なコーティングや、赤外線で検出される不自然な排熱の痕跡。
・不自然な形状:「オウムアムア」のような極端な円筒形や、薄い「ライトセイル(光の帆)」のような形。
・通信信号の検出:レーザー光や特定の周波数の電波など、意図的または偶発的に発せられる通信の痕跡。

 これまで観測された3つの恒星間天体は、ハッブル宇宙望遠鏡やジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡など、世界最高峰の設備で調査されたが、今のところ決定的な地球外文明の技術は見つかっていない。すべては自然起源である可能性が極めて高いのが現状だ。

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なぜ「ありえない話」を真剣に研究するのか

 地球外生命体の探査機という話は、夢物語に聞こえるかもしれない。しかし、この研究の真の価値は、単なるロマンの追求ではない。その目的は、何が「自然現象」で、何が「真に異常な現象」なのかを科学的に区別するための、体系的な枠組みを構築することにある。

 今後、ルービン天文台などの新しい観測技術によって、今後10年間で数十個以上の恒星間天体が発見されると予測されている。その中に、もし本当に異常な天体が見つかった場合、それを客観的かつ厳密に検証するためのプロトコル(手順)を今から準備しておく必要があるのだ。

「もし、あるいは“いつか”我々が本当に異常なものを発見した時、可能な限り最も厳格で詳細な確認が必要になる」と論文の著者らは強調する。

 太陽系を訪れる謎の天体。それは今のところ、ただの彗星や小惑星に過ぎないかもしれない。しかし、それを真剣に調査する営みこそが、人類が宇宙の謎に科学的に挑むための、重要で壮大な一歩なのである。

参考:The Debrief、ほか

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