“首がなく、肌はアザラシ”… 田舎町を恐怖に陥れた伝説の怪物「グラフトン・モンスター」の正体

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 1964年6月、晴れた夜。アメリカ、ウェストバージニア州の田舎町グラフトン近郊の道を、地元記者のロバート・コックレルは車で走っていた。その時、ヘッドライトの先に現れたのは、彼の人生を永遠に変えることになる、あまりに異様で、そして恐ろしい光景だった。そこに立っていたのは、身長3メートル近い、頭のない巨大な怪物。その肌は月明かりに濡れて、まるでアザラシのようにぬめりと輝いていたという。

記者が目撃した“首なしの怪物”と、100人の若者たち

 恐怖に駆られながらも、コックレルはジャーナリストとしての使命感から、友人と共に現場へ引き返した。怪物の姿はすでになかったが、それが立っていたと思われる場所の草はなぎ倒され、川沿いを歩くと、どこからともなく不気味な口笛のような音が聞こえてきたという。

 コックレルがこの体験を記事にすると、グラフトンの町は騒然となった。地元の若者たち100人以上が、我こそはと怪物の捜索に乗り出し、そのうち20人以上が「同じ首なしの怪物を見た」と証言したのだ。大人たちからの目撃情報も相次ぎ、この怪物はやがて「グラフトン・モンスター」と呼ばれる、町の伝説となった。

モスマン、シープスカッチ…UMAの聖地ウェストバージニア

 ウェストバージニア州は、古くから数多くの未確認生物の目撃談が語り継がれてきた、いわば“UMAの聖地”だ。翼と赤い目を持つ「モスマン」、白く巨大な獣「シープスカッチ」、そして墜落した乗り物から現れたという「フラットウッズ・モンスター」。グラフトン・モンスターも、これらの伝説的な怪物たちと並び称される存在となった。

 その人気は、人気ビデオゲーム『Fallout 76』に登場するほどだ。ゲームの中では、首がなく、奇形化した恐ろしいモンスターとして描かれている。

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画像は「Daily Mail Online」より

隠蔽工作か、ただの見間違いか―深まる謎

 しかし、この伝説には不可解な点も多い。地元の警察や市当局は、この現象を真剣に調査しようとはしなかった。それどころか、「メン・イン・ブラック」と呼ばれる政府のエージェントが目撃者たちを訪れ、口止めをしていたという噂さえある。パニックを防ぐための、当局による隠蔽工作があったのではないか、というのだ。

 一方で、第一発見者であるコックレル自身が、後年になって「友人たちと話すうちに、話が誇張されてしまったのかもしれない」と、自らの目撃談を一部撤回するような手紙を新聞社に送っていたことも判明している。彼が見たのは、暗闇の中で箱を運ぶ、風変わりな地元住民の見間違いだったのかもしれない、と。

伝説は死なず―モンスターが町おこしに

 真相は、深い森の闇の中に包まれたままだ。しかし、グラフトン・モンスターの伝説は、消えるどころか、今や町のアイデンティティの一部となっている。毎年開催される「グラフトン・モンスター・フェスティバル」には、全米からUMAファンや観光客が訪れ、人口わずか4500人ほどの小さな町を賑わせている。

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画像は「Daily Mail Online」より

 かつて鉄道の町として栄え、そして衰退していったグラフトン。皮肉なことに、この町を再び活気づけているのは、60年前に一人の記者が目撃した、頭のないアザラシ肌の怪物なのだ。

 グラフトンの森の奥深くには、一体何が潜んでいるのだろう。それは頭のない怪物か、それともただの人の見間違いだったのか。真実は誰にもわからない。しかし、この小さな町では、今も確かに“モンスター”が生きている。人々の心の中で、そして町の賑わいの中で、伝説は決して死なないのである。

参考:Daily Mail Online、ほか

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