“30億羽の鳥が消えた”… 渡り鳥に異常行動、人類の食糧危機と“第6の大量絶滅”の始まりなのか

鳥たちに異常事態が起きている――。気候変動により渡り鳥の移住スケジュールが混乱し、多くの鳥類の種が絶滅の危機に瀕しているのだ。
■1970年以降北米で約30億羽の鳥が消滅
研究者らは、鳥が通常の移住のパターンを放棄し、冬の生息地の気温上昇によりこれまでの移動行動に混乱が生じていることを突き止めた。もしこの状態が続けば人間社会にも深刻な影響を及ぼす可能性があるという。
米コーネル大学の客員科学者、アンドリュー・ファーンズワース氏は、多くの鳥類が絶滅し、自然が劇的に変化する可能性があると警告する。
鳥は害虫を駆除し、種子を拡散し、植物の受粉を助けるため、自然環境にとって重要な役割を果たしている。人間が食料や薬として利用する植物のおよそ5%は、鳥による受粉に依存しているのだ。
季節の変わり目に餌を見つけるのに苦労して死ぬ鳥が増えると、食料生産が減少し、自然のバランスが崩れる。
渡り鳥を研究しているファーンズワース氏は、北極や北部の森林などの気温上昇や山火事などの問題により、鳥の生存が困難になっていると説明する。気温上昇により鳥の移住が遅れたり早まったりし、移動した先の地域でじゅうぶんな餌が確保できていないという。これらの鳥は2080年までに生息地の半分以上を失う危険にさらされているということだ。
コーネル大学鳥類学研究所の研究により、 1970年以降北米で約30億羽の鳥が失われたというショッキングな報告が発表されている。
鳥が大量に死ぬと、バナナ、コーヒー、チョコレートの原料となるカカオなど熱帯植物の受粉にすぐに影響が出る。また蘭やアロエなどの伝統的な治療薬や医薬品に使用される薬用植物も減少する可能性があり、生薬の生産が制限されてくる。

鳥の個体数が減少し続けると、農家は十分な食糧を栽培することが困難になる可能性があり、コストが増加し、世界中の食糧の供給に影響を与える可能性がある。
この減少の主な原因は鳥類が生息場所を失ったことであり、気候変動に加えて農薬の被害、都市開発や高層建築物への衝突など、人間が原因となった影響によって状況はさらに悪化した。
地球の気温上昇により季節の移り変わりが起こり、温暖化地域の鳥が例年より早くまたは遅く巣を離れるようになった。それは昆虫や植物などの食物が潤沢になる前に繁殖地や餌場に到着することを意味する。
鳥は飢え、適切な隠れ場所を見つけられず、配偶者を見つけるのに苦労することになり、冬を生き延びる鳥の数が少なくなり、個体数がどんどん減少することになるのだ。
アメリカでは、ノドグロルリアメリカムシクイ、コオバシギ、スウェインソンツグミなど、すでにいくつかの種がこの行動の変化による影響を受けている。

全米オーデュボン協会の研究者らは、ノドグロルリアメリカムシクイの北米における個体数が減少しているのは、北米からカリブ海に移住をする際に餌が減ったためであることを突き止めた。
北極から南米への移住の途中で北米に上陸する海岸に生息する鳥であるコオバシギの個体数が約75%減少した。北極の気温上昇により繁殖地が消失し、海面上昇により沿岸の餌場が縮小しているのだ。
一方、カナダとアラスカの繁殖地から中南米の越冬地まで移動するスウェインソンツグミは、山火事や森林温暖化によって生息地や営巣地やの消失により絶滅の危機にある。
現在の地球上で6度目の“大量絶滅”が起きているとの見解も一部から主張されている。我々人間の生活を守るためにも、渡り鳥の生息地の消失をできる限り食い止めねばならない。
参考:「Daily Mail」ほか
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