温暖化より怖い「寒冷化」の恐怖… 太陽の明るさが少し減るだけで人類は滅亡する！？

• 
• Xでポスト
• 

　地球温暖化対策が求められている昨今だが、もしも地球に届く太陽光が弱まったらどうなるのか。たとえば太陽の明るさが1年で1％低下し続けると、あっという間に人類は滅亡するという。

■太陽活動減衰による寒冷化で人類滅亡!?

　来春の公開予定のアメリカ映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の物語設定では、太陽の明るさが1年で1％、20年で5％低下すると予測されている。

　この数字は小さいように思えるかもしれないが、科学者たちはこれらの変化は人類を絶滅させるのに十分すぎるほどであると述べている。

　カリフォルニア工科大学の惑星科学者デビッド・スティーブンソン教授は英紙「Daily Mail」の取材に対し「たとえ太陽エネルギーを排除したとしても、地球上の生命が絶滅するには長い時間がかかるでしょう。なぜなら地中に生息する生物がいることが分かっているからです。しかし人類の絶滅は急速に起こる可能性があります。特に人間は大部分が理性的な生き物ではないからです」と説明する。

　太陽の明るさが落ちたり、何らかの理由で大気圏がエネルギーを吸収できなくなったりすると、地球は急速に寒冷化する可能性があるという。

　1645年から1715年にかけて、太陽活動が低調になった「マウンダー極小期」として知られる70年間の寒冷化が起きている。太陽のエネルギー供給量はわずか0.22％減少しただけだったが、一部の研究者はこの変化が寒冷化の一因になったと考えている。

『プロジェクト・ヘイル・メアリー』のシナリオが現実となり、太陽放射が1パーセント減少し続ければ、結果はすぐに破滅的なものとなるという。

　最近の研究によれば、地球の気温がわずか1.8度低下するだけで、トウモロコシ、小麦、大豆、米の生産量は最大11％減少する。寒さと日照不足により農作物の生産がことごとく失敗し、大規模な食料不足が世界を襲う。

　そして『プロジェクト・ヘイル・メアリー』が実現し、太陽の温度が20年で1～5パーセント低下した場合、気候への影響はさらに壊滅的なものとなる。

　アリゾナ大学の最近の研究によると、2万年前の最終氷河期の平均気温は現在よりも6度低かったという。この時期、氷河は北アメリカ、ヨーロッパ、南アメリカの約半分とアジアの大部分を覆っていた。

　オックスフォード大学の天体物理学者、ベッキー・スメサースト氏は「太陽からのエネルギーが1パーセント減少すると、地球で新たな氷河期が引き起こされ、極地の氷冠が赤道に向かってさらに拡大するでしょう」と説明する。

「気候の変化に伴って多くの生態系が崩壊し、農業は衰退し、深刻な食糧不足に陥るでしょう。人類は現代の技術のおかげで、この変化を生き延びる可能性が高いでしょう。ただし、おそらく地下で生活することになるでしょう」（スメサースト氏）

　ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの太陽科学者アレクサンダー・ジェームズ氏は「根本的な観点から言えば、もし太陽が完全に消え去れば、光はなくなり、すべての緑の植物は光合成ができなくなるでしょう」と同紙に説明する。

「そうなると、植物は酸素を生成できなくなります。もちろん酸素は私たちの生存に不可欠です。気温も急激に低下するでしょうから、私たちが知る生命の大部分が太陽なしでどうやって生き残れるのか、私には想像もつきません」（ジェームズ氏）

　こんなことが本当に起こり得るのか。

　科学者の多くはは『プロジェクト・ヘイル・メアリー』ほど太陽が急速に冷えることはあり得ないという。

　太陽の活動は変動するものの、その影響は劇的なものではなく、太陽活動の衰退は確かに寒冷化に寄与してはいるが、火山活動などほかの要因の方がより大きな役割を果たした可能性が高いという。

　さらに太陽の自然な変化のほとんどはきわめて小規模であり、たとえ太陽活動が衰え始めても、科学者を宇宙船に乗せて送り出すよりも良い解決策を見出す時間はまだたっぷりあるようだ。

参考：「Daily Mail」ほか

文＝仲田しんじ

仲田しんじの記事一覧はこちら

※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。

関連記事

• 

  世界の終わり「ラグナロク」神話は実際に起きていた！？人々はどう生き延びたのか

• 

  マイナス10度の川で泳いでみたキツネ → モフモフのまま瞬間冷凍され死亡！ 世界的話題の写真＝ロシア

• 

  「寒さアレルギー」で死にかけた男の実話がヤバすぎる！ 大量の汗と蕁麻疹が… 意外に高い発症率、原因は!?

• 

  森林火災が地球を冷却する？ 火災と温暖化の意外過ぎる関係とは？