人類が滅亡した後、この“鋼鉄の箱”だけが残る… タスマニアに建造された「地球のブラックボックス」

オーストラリア南端の島、タスマニアに巨大な鋼鉄のオブジェが横たわっている。まるで“モノリス”のようなこの巨大構造物はなんと人類滅亡後を見据えた設計思想に基づいているという――。
■滅亡する人類文明を後世に伝えるモノリス
オーストラリアの研究者たちが、人類のための“ブラックボックス”の開発に取り組んでいる。彼らの目標は、もし人類の文明がいつか滅亡した時、タスマニアにあるこの鉄のモノリス(一枚岩)が、後世の人々のために人類の歴史、そして没落の物語を語り継ぐことにある。
プロジェクトの名称は「Earth’s Black Box(地球のブラックボックス)」。この「地球のブラックボックス」は飛行機のフライトレコーダーのように、あらゆる重要なデータを保存するように設計されている。このデータストレージデバイスは厚さ7.5センチの鋼鉄で作られた、長さ15メートルの巨大なモノリスである。「地球のブラックボックス」は、タスマニア島西部の人雑離れた場所の花崗岩の土台の上に設置されており、太陽光発電で稼働し、メンテナンスなしで数世紀、あるいはそれ以上稼働するように設計されている。
このプロジェクトはタスマニア大学、クリエイティブ企業「Clemenger BBDO」、そしてアーティスト集団「The Glue Society」のコラボレーションだ。
「地球のブラックボックス」の内部には、環境と社会に関するデータを継続的に記録するストレージシステムが搭載されている。二酸化炭素濃度、海水温と気温、海洋酸性化、エネルギー消費量、政治的決定、ニュース、ソーシャルメディアの投稿などだ。人類がどのように生き、最終的になぜ失敗したのかを説明できるあらゆる環境データがそこにあるのだ。
「もし壊滅的な崩壊が起こった場合に備えて、この装置を後世に残し、未来の世代が何が起こったのかを学べるようにしたい」とプロジェクトチームはオーストラリアのメディアに説明する。
このアイデアは、気候変動危機の緊急性から生まれた。
「今行動を起こさなければ、私たちの行動はすべて、自らの破滅を記録することになるだけだ」と、プロジェクトの紹介ビデオで語られている。
すでにテスト記録が開始されており、データは暗号化され、複数回バックアップされている。この「地球のブラックボックス」は遅くとも2026年には本格稼働する予定だ。そしてこのモノリスは人類最後の瞬間まで、そして願わくば遠い未来に起こるであろう最後の瞬間まで、あらゆるものを記録することになるのだ。
もう一つの興味深いプロジェクトがある。ノルウェーのスヴァールバル諸島にあるスヴァールバル世界種子貯蔵庫(Svalbard Global Seed Vault)は、世界中から集められた何百万もの種子サンプルを、北極圏の永久凍土の奥深くに保管している。

2008年に開設されたこの貯蔵庫は、地球規模の災害が発生した場合でも、栽培植物の多様性を未来の世代に残すことを目的とした施設だ。岩盤に最大130メートルの深さまで掘削された貯蔵庫に、種子はマイナス18度で保管され、地震、洪水、核攻撃から守られている。
この貯蔵庫はノルウェー政府、国連食糧農業機関(FAO)、そしてグローバル作物多様性トラスト(Global Crop Diversity Trust)によって運営されており、最大450万品種の植物を保管が可能な種子版の「ノアの方舟」である。
いずれも人類と地球の未来を見据えた興味深い話題だが、将来に有効活用されないことを願うばかりである。
参考:「Bild」ほか
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2024.10.02 20:00心霊人類が滅亡した後、この“鋼鉄の箱”だけが残る… タスマニアに建造された「地球のブラックボックス」のページです。人類滅亡、モノリス、ブラックボックスなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで
