もし管理が止まれば衝突まで「5.5日」2018年から猶予が激減した地球軌道、過密化する衛星群の知られざるリスク

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 私たちの頭上数百キロ、そこには静寂な宇宙が広がっている……と思ったら大間違いだ。今、地球の低軌道(LEO)は、時速2万7000キロ以上という凄まじい速さで飛び交う数千もの人工衛星と宇宙ゴミ(デブリ)で埋め尽くされている。

 これまでは、地上の運用チームによる緻密なコントロールで衝突を回避してきた。しかし、もしこの「宇宙の交通整理」が突然止まってしまったらどうなるか?

 最新の研究によれば、その答えは絶望的だ。私たちが破滅的な衝突を免れる猶予は、わずか「5.5日」しかないという。

 衛星同士がぶつかるなんて宝くじに当たるような確率だと思っていたのだが、現実は我々の想像を遥かに超える「超過密状態」に突入しているようだ。

2018年から激変した「宇宙の賞味期限」

 プリンストン大学やブリティッシュコロンビア大学などの研究チームが発表した論文(arXivに掲載)では、「CRASHクロック(衝突実現および重大な被害クロック)」という新たな指標が導入された。これは、衛星の回避機動や追跡システムが停止した場合、致命的な衝突が起こるまでに平均でどれくらいの時間がかかるかを推定したものだ。

 算出された現在の数値は、衝撃の「5.5日」。

 驚くべきは、その短縮スピードだ。大規模な衛星コンステレーション(網状の衛星群)が普及する前の2018年時点では、この数値は「164日」、つまり半年近い猶予があった。それがわずか数年で、1週間にも満たない時間まで縮まってしまったのだ。

 これはまさに「薄氷の上で踊るダンス」のような状態だ。現代の宇宙利用は、完璧な管理が継続されることを前提とした「砂上の楼閣」ならぬ「軌道上のトランプ城」になっているのである。

スターリンクが1日800回も「ハンドル」を切る異常事態

 この過密状態を招いた主な要因は、スペースX社の「スターリンク」に代表される巨大衛星群だ。

 報告書によれば、スターリンクの衛星だけで、2024年後半から2025年中盤のわずか半年間に、14万4000回以上の衝突回避機動を実行している。計算すると、2分に1回はどこかの衛星が衝突を避けるために「ハンドル」を切っていることになる。

 現在の低軌道では、物体同士が1キロ以内に接近する事案が36秒に1回のペースで発生しているという。日本で言えば、大げさかもしれないが渋谷のスクランブル交差点を、目隠しをした数千人が全速力で走り抜けながら、無線指示だけで辛うじてぶつかるのを避けているような、異様な光景かもしれない。

 もし大規模な太陽嵐が発生し、衛星の制御が一時的に失われたり、追跡精度が落ちたりすれば、この「薄氷のバランス」は一瞬で崩れ去る。1859年に発生した史上最大の太陽嵐「キャリントン・イベント」級の直撃を受ければ、5.5日を待たずして、地球の周りは地獄絵図と化すだろう。

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逃れられない「ケスラーシンドローム」の悪夢

 一度衝突が起きれば、衛星は数千の高速破片へと粉砕される。その破片がさらに別の衛星を破壊し、連鎖的に衝突が広がる――これがいわゆる「ケスラーシンドローム」だ。ひとたび連鎖が始まれば、特定の軌道は数十年間にわたって利用不可能になり、GPSや天気予報、インターネットといった現代文明を支えるインフラが根底から崩壊する。

 研究者たちは、この「5.5日」という数字は決してパニックを煽るためのものではなく、宇宙の安全保障がいかに脆弱であるかを政策立案者に示すための「警報」だと強調している。

 考えてみると、私たちは無料のネット接続や高精度な地図アプリの恩恵を享受しているが、その代償として、いつ爆発してもおかしくない「デブリの時限爆弾」を頭上に抱え続けているわけだ。

 かつて宇宙は「フロンティア」だったが、今や「有限な資源」になりつつある。このまま無計画に打ち上げを続ければ、人類は自らが作り出したゴミの壁によって、二度と地球から出られなくなるかもしれない。まずはこの頭上の「5.5日の猶予」をなんとかする知恵を人類に期待したいところである。

参考:The Debrief、ほか

TOCANA編集部

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