「毎日4機のスターリンク衛星が地球に落下している」― 専門家が警告する“宇宙ゴミ”の脅威と大気への未知なる影響

私たちの頭上で、今この瞬間も、目に見えない“流れ星”が無数に降り注いでいるとしたら…?イーロン・マスク率いるスペースX社が展開する宇宙インターネット網「スターリンク」。その衛星が、現在「毎日最大4機」ものペースで地球に落下しているという衝撃的なデータが、ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのジョナサン・マクダウェル博士によって明らかにされた。このまま衛星の数が増え続ければ、いずれ「毎日5機以上」が落下する時代が来るとも予測されている。
急増する“流れ星”―本当に安全なのか?
スターリンク衛星は、設計寿命が約5年と比較的短く、寿命を迎えると自動的に軌道を離脱し、大気圏に再突入して燃え尽きるように設計されている。そのため、マクダウェル博士自身も「地上に破片が到達するリスクは極めて低い」と語る。ほとんどの専門家は、スターリンク衛星の落下が地上の人々に直接的な危険を及ぼすことはない、という見解で一致している。
しかし、「100%安全」とは言い切れないのが現実だ。昨年夏、ノースカロライナ州の人里離れた土地で発見された奇妙な物体が、スペースX社のドラゴン補給船の残骸であったことが後に確認されている。スターリンク衛星も、ごく稀に燃え尽きずに地上に到達する可能性はゼロではないのだ。
現在、地球低軌道上には約2万個の追跡可能な物体が存在し、そのうち約8500機がスターリンク衛星だという。この数が今後さらに数万機規模で増えていくことを考えると、たとえ落下のリスクがわずかであっても、決して無視することはできない。

本当に恐ろしいのは“見えない脅威”―大気汚染という新たなリスク
マクダウェル博士が本当に懸念しているのは、地上に落下する破片のリスクよりも、むしろ「見えない脅威」の方だ。それは、衛星が大気圏で燃え尽きる際に放出される、微細な粒子による大気への影響である。
衛星が燃焼する過程で、酸化アルミニウムなどの粒子が成層圏にばらまかれる。これらの粒子が、高高度の化学組成を変化させたり、地球の温暖化効果に寄与したりする可能性が指摘されているのだ。現在、地球の軌道はスターリンクをはじめとする「メガコンステレーション(巨大衛星網)」で急速に埋め尽くされている。毎日何機もの衛星が燃え尽きることが常態化する未来において、これらの微粒子が地球環境にどのような長期的影響を与えるのか、まだ誰にもわかっていない。

制御不能な“巨大なゴミ”―本当に禁止すべきもの
マクダウェル博士は、スターリンク衛星そのものよりも、制御不能なまま再突入する「1トン以上の巨大な宇宙物体」の方に、より強い懸念を表明している。「私は、再突入してくるデブリ(宇宙ゴミ)のリスクを快く思っていない」と彼は語る。
役目を終えた大型の人工衛星や、ロケットの上段ステージ(打ち上げ後に切り離される部分)などが、制御されないまま大気圏に突入し、燃え尽きずに地上に落下するケースは後を絶たない。このような巨大な“宇宙ゴミ”の無制御な落下こそ、直ちに禁止されるべきだと彼は主張する。
宇宙開発が加速する現代において、私たちの頭上の空は、もはや無限の空間ではない。スターリンク衛星の落下は、より広範な宇宙ゴミ問題の一端にすぎない。空を見上げたとき、私たちが目にする無数の星々の中に、地球環境を静かに蝕む“見えない脅威”と、いつ頭上に落ちてきてもおかしくない“巨大なゴミ”が混じっている。その現実を、私たちは知っておくべきなのかもしれない。
参考:The Debrief、ほか
※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。
関連記事
人気連載
“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】
現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...
2024.10.02 20:00心霊「毎日4機のスターリンク衛星が地球に落下している」― 専門家が警告する“宇宙ゴミ”の脅威と大気への未知なる影響のページです。宇宙ゴミ、スターリンクなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで