宇宙に送った「大麻と166人分の遺灰」を太平洋でロスト、回収不能に…=スペースX

スペースXの宇宙船で宇宙に送られた大麻と遺灰が行方不明になった――。しかしそもそもなぜ大麻と遺灰が宇宙に送られたのか。
■大気圏に再突入した大麻と遺灰が行方不明に
先の6月23日、イーロン・マスク氏がCEOを務めるスペースXは、カリフォルニア州ヴァンデンバーグ宇宙軍基地の発射施設からファルコン9ロケットを低地球軌道に打ち上げた。
このライドシェアミッションの積荷には、いくつかの珍しくて注目すべき実験に用いられる大麻を含む70個の積み荷と、遺族による“宇宙葬”のための遺灰が含まれていた。
研究者や遺族にとって残念なことに、このミッションは完全な成功とはならず、大麻と遺灰は現在行方不明となっている。

積荷の1つのカプセルには980個以上の生物学的サンプルが納められたものもあり、宇宙空間の放射線が生物系に与える影響を評価するための実験が意図されていた。
また大麻の種子と植物体もカプセルに収納されていた。回復力があり、多目的であり、生物学的に複雑である大麻が宇宙や火星のような極限環境でどのような挙動を見せるのかが検証される予定であった。
ファルコン9の積荷の中には、驚くべきことに宇宙葬専門企業「セレスティス(Celestis)」のカプセルもあった。同社は遺体を宇宙に送り出す実績があり、 2023年には歴代アメリカ大統領4人の遺毛を宇宙に送るミッションも手掛けている。
今回のミッションでは166人の遺灰とDNAを積んだカプセルが地球を周回し、その後、遺族に返還する初のミッションとなるはずであった。
こうした積荷が収納されたカプセルは低衛星軌道上を周回した後、大気圏へ再突入してハワイ沖に着水する手筈であった。救助隊がカプセルを回収し、一部はミッション後の詳細な分析に回され、遺灰は遺族に返還されることになっていた。
しかし大気圏再突入後に問題が発生し、着水数分前に通信が途絶えた。根本原因は現在も調査中で、近日中に詳細が公表される予定だという。つまりカプセルはおそらく太平洋の海中に存在することになるが、その場所はよくわかっていない。
この不測の事態により、カプセルの回収および遺灰の帰還は不可能と判断され、「ご家族の皆様には大変ご心配をおかけしておりますが、ご信頼を賜りましたことに心より感謝申し上げます」と「セレスティス」は声明で謝罪した。
同社は近日中に家族と連絡を取る予定だとしている。

「現時点では、飛行カプセルを返還することはできないと考えています。家族が、愛する人たちが歴史的な旅に参加し、宇宙に打ち上げられ、地球を周回し、今は伝統的な尊敬すべき海洋散骨のように広大な太平洋の海に眠っていることを知って、いくらか安らぎを見いだしてくれることを願っています」(セレスティス)
結果的に海洋散骨になってしまったという意味では遺族にとって最悪な事態にはならなかったとは思われるが、一方で大麻をはじめ数々の生物学的サンプルが回収できなかったのは科学研究における残念な損失にはなる。
これに懲りることなく実験も“宇宙葬”も今後も続けられるとは思うが、次はグッドニュースが届けられることを期待したい。
参考:「IFLScience」ほか
※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。
関連記事
人気連載
“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】
現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...
2024.10.02 20:00心霊宇宙に送った「大麻と166人分の遺灰」を太平洋でロスト、回収不能に…=スペースXのページです。スペースX、大麻、行方不明、ファルコン9、遺灰、宇宙などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで