アポロ11号の「最高画質テープ」消失の真相とは… エイリアン隠蔽ではなくNASAの“経費削減”で上書きされていた!?

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Public Domain(Wikimedia Commons

 1969年、人類が初めて月面に降り立った歴史的瞬間。その一部始終を収めた「最高画質のオリジナルテープ」が消失しているという事実は、長年、陰謀論者たちにとって格好の餌食となってきた。

「NASAは宇宙人が写り込んだ映像を隠蔽するために消去した」「そもそも月面着陸はスタジオで撮影されたフェイクで、証拠隠滅のためにテープを捨てたのだ」……。

 しかし、57年が経過した今、人気YouTuberで宇宙開発解説者のティム・ドッド氏(別名:エブリデイ・アストロノート)が、この「消失したテープ」を巡るあまりにもお粗末で、かつ現実的な真相を語り、注目を集めている。

巨大なカセットテープに上書きされた「人類の宝」

 ドッド氏がポッドキャスト番組で明かしたところによれば、消失したのはアポロ11号から送られてきた生の信号を記録した「バックアップ用の磁気テープ」だ。

 当時、月からの映像信号は2つのルートで処理されていた。一つはヒューストンの管制センターへ送られ、テレビ放送用にリアルタイムで変換された低画質の映像。もう一つは、巨大なオープンリール式の磁気テープに直接記録された、無加工の高品質データである。

 NASAにとって、この高品質テープはあくまで「もし放送事故が起きた際の原因究明用」の安全網に過ぎなかった。無事に生中継が成功したため、これらのテープは重要性の低い「使い古しの備品」として、ラベルも貼られずに倉庫の奥深くに放り込まれたのである。

 悲劇が起きたのは1970年代から80年代にかけてだ。当時、磁気テープが極端に不足していたNASAは、あろうことか倉庫に眠っていた古いテープを「再利用(上書き)」してしまった。そう、人類最大の偉業の生データは、事務的なコスト削減の波に飲まれ、消え去ってしまったというのだ。

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「未来の技術」を甘く見ていたエリートたち

 なぜ、これほど貴重なデータを安易に消してしまったのか。ドッド氏は、当時の技術者たちが「将来、AIやデジタル技術で画質を劇的に向上(アップスケーリング)できる日が来る」とは夢にも思っていなかったからだと指摘する。

 当時の感覚では、一度テレビ放送用に変換された映像があれば十分であり、元の粗い磁気データを保存しておく価値を見出せなかったのだ。

 日本でも、かつてのテレビ番組のマスターテープが「テープ代が高いから」という理由で上書き消去されていたという話は聞くが、まさかNASAの、それもアポロ計画の現場で同じような「昭和的な」ミスが起きていたとは驚きを禁じ得ない。

消えない疑惑:「なぜ1972年で止まったのか?」

 ドッド氏は、NASAが意図的に映像を隠蔽したという説を「誤解である」と一蹴する一方で、着陸捏造説を信じる人々が抱く「ある一つの正当な疑問」には理解を示している。

 それは、「なぜ1972年のアポロ17号を最後に、人類は月へ行くのをやめてしまったのか?」という謎だ。

「50年以上前にできたことが、なぜ今はできないのか」というフラストレーションに対し、ドッド氏は身も蓋もない「経済的理由」を挙げている。当時、アメリカが月へ行くために投じた予算は、現在の価値で約3000億ドル(約45兆円)。サターンVロケットを打ち上げ続けるコストがあまりにも巨大すぎたため、政治的に「もう割に合わない」と判断されたのが真相だという。

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ティム・ドッド氏 画像は「Daily Mail Online」より

真実は「70mmフィルム」の中に

「最高画質の動画」は失われたかもしれないが、ドッド氏は、NASAが今もなお「IMAX映画並みの鮮明な70mmフィルム」を保持していることを強調している。宇宙飛行士がハッセルブラッドのカメラで撮影した静止画の数々は、現代の基準で見ても息を呑むほどクリアだ。

 一見すると不気味な隠蔽工作のように見えたテープ消失事件。その実態は、官僚組織特有の「うっかりミス」と「想像力の欠如」だった。

 陰謀論が囁くようなエイリアンの姿は、そこには写っていなかったのかもしれない。だが、45兆円をかけて手に入れたデータを、わずかなテープ代のために消去してしまったという事実は、ある意味で「宇宙人の実在」よりも恐ろしく人間らしい話ではないだろうか。

参考:Daily Mail Online、ほか

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