【未解決事件】宇宙の密室で誰がやった!? アポロ10号を襲った「空中浮遊物」ミステリー

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左よりサーナン、スタフォード、ヤング NASA https://images.nasa.gov/details/S69-32613 Wayback Machine(画像アーカイブ) Wayback Machine(説明ページ) パブリック・ドメイン Wikimedia Commons

 1969年、人類が初めて月に降り立つ直前。歴史的なアポロ11号の偉業を陰で支えた「最終リハーサル」アポロ10号の船内では、公式記録に刻まれるべきではない――いや、ある意味で最も人間味あふれる「未解決事件」が発生していた。

 世に言う、「アポロ10号・宇宙浮遊物体(ウンチ)ミステリー」である。

 今回は、NASAが公開した機密解除済みの通信記録から、人類の月への野望と、密閉されたカプセル内のあまりにも生々しいやり取りを振り返ってみたい。

空中を舞う「正体不明の漂流物」

 1969年5月、月へと向かっていたアポロ10号の船内には、トーマス・スタッフォード船長(CDR)、ジョン・ヤング司令船操縦士(CMP)、ユージン・サーナン月着陸船操縦士(LMP)の3名がいた。

 事件の第1報は、通信記録の414ページに突如として現れる。

スタッフォード船長:「おわっ、誰がやったんだ?」
ヤング:「誰が何を?」
サーナン:「え、何?」
スタッフォード船長:「誰がやったんだよ(笑)。どこから出てきたんだこれ?」
スタッフォード船長:「早くティッシュをくれ。ウンチが空中を浮いてるぞ!」

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Image credit: Apollo 10 Mission, NASA/JSC

 NASAの超エリートたちが、月を目前にして「空中を漂うウンチ」にうろたえ、ティッシュを求めて叫んでいる姿を想像すると、なんとも言えない親近感が湧いてくる。無重力の世界では、排泄物の密閉に失敗すれば、それは自由奔放な「漂流物」と化すわけだ。

泥沼の潔白証明:「俺のはもっと粘り気があった」

 続く415ページでは、誰の仕業かを巡る「Poo-dunit(犯人は誰だ)」論争が勃発する。しかし、その潔白の証明方法が実に生々しく、かつ衝撃的だ。

ヤング:「俺じゃない。それは俺のじゃないぞ」
サーナン:「俺のじゃないと思うな」
スタッフォード船長:「俺のはそれよりも、もうちょっと粘り気があった。そいつは捨ててくれ」
ヤング:「なんてこった……」

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Image credit: Apollo 10 Mission, NASA/JSC

 自分のモノの「粘り気」を比較対象に出してまで潔白を主張する船長。エリート宇宙飛行士たちが、月の軌道上でウンチのコンディションについて議論しているのである。逃げ場のない密閉されたカプセル内で、犯行が可能なのは3人だけ。まさに究極の「密室ミステリー」と言えるだろう。

第2の刺客と、過酷すぎるトイレの現実

 事件は一度では終わらなかった。419ページ、再び「それ」は現れる。

サーナン:「また別の、忌々しいウンチだぞ。お前ら一体どうなってるんだ?」
サーナン:「なあ、もし俺がやったんなら、床(フロア)に漏らしたことくらい自分で分かるはずだぜ」
スタッフォード船長:「(笑)……いや、俺のはそれより粘り気があったんだよな」
ヤング:「俺のもだ。袋にぶつかったし……」

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Image credit: Apollo 10 Mission, NASA/JSC

 当時のアポロ船内のトイレ事情は、お世辞にも快適とは言えなかった。現代のように吸引式ではなく、お尻にビニール袋をテープで貼り付けて排泄するという、極めて原始的かつ熟練の技術を要する代物だったのだ。

 一見すると笑える話だが、これは当時の宇宙飛行士たちが、いかに過酷でプライバシーのない環境で任務を遂行していたかを物語っている。数百万キロの旅をしながら、浮遊する排泄物をティッシュで回収しなければならない。これこそが、教科書には載らない「宇宙開発のリアル」なのだ。

英雄もまた人間である

 この「浮遊事件」から2ヶ月後、アポロ11号は無事に月面着陸を果たした。アポロ10号の3人は、月面からわずか15kmまで接近し、人類が月に降り立つための完璧なリハーサルを完遂した真の英雄たちだ。

 彼らの偉大な功績を称える一方で、公式記録に遺された「俺のはもっと粘り気があった」という、あまりにも人間味あふれる(というか生々しすぎる)やり取りを読むと、宇宙飛行士もまた、私たちと同じ体温を持った人間なのだと再確認させられる。

 まさに「人間にとっては小さな一歩だが、NASAにとっては(片付けるのが)大きな一歩」だったのかもしれない。将来の月面基地では、こうした「宇宙の恥はかき捨て」にならない完璧な吸引システムの完備を願うばかりである。

参考:IFLScience、ほか

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