スティーヴン・キング『キャリー』には実在のモデルがいた! 今は亡き2人の少女と、居間に掛かった巨大な十字架

いじめられ続けた少女が、念動力でプロムの夜を地獄に変える。1974年に刊行されたスティーヴン・キングのデビュー長編『キャリー』は、現代ホラー文学の古典として今も読み継がれている。
だがこの物語は、危うくゴミ箱の中で終わるところだった。そして主人公キャリー・ホワイトの背後には、キングがかつて知っていた2人の少女の姿があったという。
同級生「ティナ」が背負わされた「最下層」の役回り
キングは英紙ガーディアンに寄稿したエッセイで、『キャリー』を書き始めて2ページも進まないうちに、2人の少女の記憶が「亡霊」のように入り込んできたと振り返っている。どちらもすでにこの世を去った少女で、2人の像が重なり合ってキャリーになったのだという。
キングは彼女たちを仮名で呼んでいる。1人目の「ティナ・ホワイト」は、小学校時代の同級生だ。
キングによれば、どのクラスにも椅子取りゲームで必ず席を失い、背中にからかいの貼り紙をされる子がいる。ティナはまさにその立場に置かれていた。
頭が悪かったわけではない。家庭が少し変わっていたのは事実だが、それが理由でもなかった。彼女が標的にされたのは、毎日同じ服で登校していたからだとキングは記している。子どもの残酷さは、ほんの小さな違いを見逃さない。
「もし落ちてきたら」という想像が物語を動かした
2人目の「サンドラ・アーヴィング」は、メイン州ダーラムのキングの家の近くに住んでいた同級生だ。
ある日、キングはサンドラの母親に頼まれ、家具の運び出しを手伝った。そこで目を奪われたのが、居間のソファの上に掛かった巨大な十字架だった。母娘がテレビを見ているときにこれが落ちてきたら、下にいた人はまず助からないだろう、とキングは感じたという。
もしサンドラの母がソファに座っていたときに十字架が落ちていたら、という想像がキングの頭を離れなかった。帰宅した彼は、さっそく小説の冒頭数ページをタイプした。
ところが出来に満足できず、原稿はゴミ箱行きに。それを拾い上げたのが、妻のタビサだった。ゴミ箱を片付けていた彼女は、紙に積もったタバコの灰を払い落として読み始め、続きが読みたいと夫に伝えた。この一言がなければ、ホラーの帝王は誕生していなかったかもしれない。

女子更衣室のピンクのカーテンと、念動力の記事
冒頭の更衣室シーンにも、実体験の裏付けがある。キングはブランズウィック高校で用務員として働いていた時期があり、女子トイレを掃除していた際、シャワーにピンク色のカーテンが付いていることに気づいた。男子側にはないものだった。
その記憶はのちに、カーテンもプライバシーもないシャワールームで、初潮の意味を知らない少女が同級生たちから生理用品を投げつけられる光景として、彼の脳裏によみがえったという。
この場面を練るなかでキングが思い出したのが、かつて『LIFE』誌で読んだテレキネシス(念動力)の記事だった。思春期の少女、とりわけ初潮の時期にそうした力が現れることを示す証拠がある、という趣旨の内容だったという。
シャワールームの光景と念動力の着想。そこにティナの孤独とサンドラの家の十字架が重なり、キャリー・ホワイトは生まれた。
思春期の少女と見えない力の結びつきは、誌面で語られた一つの説にすぎないのかもしれない。それでも、名もなき2人の少女の痛みが半世紀以上たった今も読者の胸をざわつかせ続けていること自体が、ひとつの「力」の証明に思えてならない。
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2024.10.02 20:00心霊スティーヴン・キング『キャリー』には実在のモデルがいた! 今は亡き2人の少女と、居間に掛かった巨大な十字架のページです。ホラー映画、キャリー、スティーブン・キングなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで
