超能力研究所を数年間だまし続けた10代マジシャン2人の「偽サイキック」潜入作戦

1970年代末、大学に新設された超能力研究所が「本物の超能力者」を見つけ出した。研究者たちを驚かせた2人の青年は、念力も透視も次々とやってのけたという。だが彼らの正体は、ある有名マジシャンが送り込んだ10代の手品師だった。数年にわたって続いた「プロジェクト・アルファ」と呼ばれる潜入作戦の顛末を紹介しよう。
名物マジシャン・ランディはなぜ研究所に刺客を送り込んだのか
仕掛け人は、「アメージング・ランディ」の芸名で知られたマジシャン、ジェームズ・ランディ氏だ。奇術師としての長いキャリアの後、自称霊能者や信仰治療師、そして念力でスプーンを曲げると称する人物たちのトリックを暴くことに情熱を注いだ人物である。
日本でも1970年代に一大ブームを巻き起こしたユリ・ゲラー氏とは因縁が深い。米国の人気トーク番組『ザ・トゥナイト・ショー』にゲラー氏が出演した際、司会者で元アマチュア手品師のジョニー・カーソン氏は、ランディ氏の助言を受けて小道具に細工ができないよう管理した。その結果、ゲラー氏は番組内で能力をうまく披露できなかったとされる。
ランディ氏の矛先は、個々の能力者だけでなく、科学的な厳密さを欠いたまま超能力を研究する側にも向いていた。1979年、ミズーリ州のセントルイス・ワシントン大学が助成金を得て「マクドネル超心理学研究所」を設立し、被験者の募集を始める。ここに応募したのが、17歳と18歳の若きマジシャン2人だった。
ホチキス、息、深夜の窓……拍子抜けのトリック
ランディ氏は事前に研究所へ、手品のトリックを見抜ける実験手順にすべきだと助言していた。自費で現地に出向き、実験を監督するとまで申し出たが、提案は採用されなかったという。
透視実験では、絵が入った封筒を渡され、2人きりで部屋に残された。彼らはホチキスの針を外して中身をのぞき、元通りに留め直して返却するだけでよかった。怪しまれないよう、わざと何回か外して正答率を下げていたというから芸が細かい。
後に「バナチェック」の名で活躍することになる青年は、離れた場所からビデオ映像に影響を与えてみせた。実際には研究者の目が離れた隙に2度、カメラの調整つまみをいじっていたそうだ。
瓶の中の軽い紙の羽根を念力で回す実験では、瓶の縁の下に小さな物を挟んで隙間を作り、息を吹き込んで回していた。南京錠をかけた水槽の中の物を一晩で動かす課題に至っては、窓の鍵を開けておき、夜中に忍び込んで動かしたという。「種も仕掛けもございません」どころか、仕掛けしかなかったわけだ。

新ルールで能力が急減、プロジェクト・アルファが残したもの
2人は当初から、いずれ種明かしをするつもりだったとされる。ランディ氏からは、不正をしているのかと直接問われたら即座に白状するよう指示されていたと本人たちは語っている。一方で、当時研究所にいた関係者の中には、実際に問いただしたが2人は答えなかったと反論する声もある。
1981年、ランディ氏が研究所にマジシャンを送り込んだという噂を広め始めると、研究所側はトリックの見破り方について同氏に助言を求めた。ほどなく厳格な新手順が導入され、それと時を同じくして2人の「超能力」は不思議と衰えていった。
この一件が示したのは、手品師の技が研究者の目をいとも簡単にすり抜けるという事実だ。ただし、暴かれたのは実験手順の甘さであって、超能力そのものの不在が証明されたわけではない。厳しい監視をくぐり抜けてなお説明のつかない結果が出たとき、それこそが本物の謎と呼べるのだろう。その瞬間を待ち続ける研究者がいる限り、超能力研究の扉はまだ閉じていないのだ。
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2024.10.02 20:00心霊超能力研究所を数年間だまし続けた10代マジシャン2人の「偽サイキック」潜入作戦のページです。サイキック、超能力、念力、透視、マジシャンなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで