受刑者の「未来の暴力」をAIが予測!? 映画『マイノリティ・リポート』を思わせる刑務所の新分類システムが12月に始動

受刑者の「未来の暴力」をAIが予測!? 映画『マイノリティ・リポート』を思わせる刑務所の新分類システムが12月に始動の画像1
イメージ画像 Created with AI image generation

 罪を犯す前の人間を、予知によって取り締まる。スティーブン・スピルバーグ監督の映画『マイノリティ・リポート』(2002年)が描いた世界を連想させる仕組みが、アメリカの刑務所に導入されようとしている。

 ミシガン州矯正局(MDOC)が、受刑者が将来暴力を振るうリスクをデータから予測し、収容区分の判定に役立てる新システムの試験運用を発表したのだ。

「暴力の予測精度が約30%向上」とうたう新ツール

 地元テレビ局FOX 2デトロイトなどが伝えたMDOCの10月29日の発表によれば、試験運用は2026年12月1日、州内の男性用施設の一部から始まる予定だ。

 ミシガン州は受刑者を、最も安全とされるレベル1から最も危険とされるレベル5までの保安区分に分けている。これまでは各施設で職員の委員会が審査してきたが、今後はAIの判定が大きな比重を占めそうだ。

 ツールを開発したのは、刑事司法分野の非営利団体Recidiviz(レシディヴィズ)。Googleで始まった刑事司法データ整備のプロジェクトを起源とし、そのシステムは19州で使われているという。新システムは定期審査を待たず、リアルタイムで判定を更新する点が特徴だ。

 MDOCは、将来の暴力の予測精度が約30%向上すると説明している。ただ、この数字の算出方法は報道からは明らかになっていない。

 収容区分は、受けられる更生プログラムや、誰と一緒に収容されるかを左右する重要な決定だ。ハイディ・ワシントン局長は、現在の行動や必要性に合った区分にすることが受刑者・職員全員の安全につながると説明し、過去の実績データに基づく客観的なツールになったと期待を示している。

 背景には刑務所内の暴力の増加がある。支援団体Safe Inside Projectによれば、全米の刑務所で受刑者による職員への暴行が77%、受刑者同士の暴行が54%増えたと報告されている。

「中リスク」と判定された盲目の70歳

 一方で、似た仕組みが深刻な問題を生んだ例もある。米非営利報道機関プロパブリカが2025年4月に報じたルイジアナ州のリスク評価ツール「TIGER」だ。

 TIGERは約10年前、州矯正局とルイジアナ州立大学の研究者が連邦補助金175万ドルを使って開発した。本来は再犯を防ぐため、受刑者にどんな講座やカウンセリングが必要かを見極める道具だった。ところが2024年の州法で、仮釈放審査を受けられるのはTIGERで「低リスク」と判定された人だけになった。

 その影響を受けたのがカルヴィン・アレクサンダー氏だ。ほぼ失明し車椅子で生活する70歳で、薬物治療などを受け、懲罰歴もなかった。それでも「中リスク」と判定され、予定していた仮釈放審査は取り消された。

 TIGERが重視するのは犯罪歴、就労歴、初めて逮捕された年齢、過去の仮釈放取り消しなど、変えようのない過去のデータだ。服役中の更生努力は反映されない。バージニア大学のミーガン・スティーブンソン教授は、こうしたデータを使えば貧困層や黒人に不利な、偏った判定を生むと指摘している。

 専門家によれば、この種のアルゴリズムは100人中40人が再犯するといった集団単位の予測はできても、それが誰なのかまでは特定できない。開発者の1人も、受刑者を刑務所にとどめる懲罰的な道具として作ったものではないと語っている。

 ルイジアナ州矯正局は取材に応じていないが、法案を提出した州議員は審査の効率化が目的だと説明し、仮釈放委員会の委員長も改革が治安を向上させるとの声明を出している。

予知能力者の代わりにデータが未来を占う

 ミシガン州の新システムは仮釈放ではなく収容区分を決めるためのもので、映画のように罪を犯す前の人間を逮捕するわけではない。ただ、判定の精度はどんなデータを使うかで大きく変わる。その中身は、現時点の報道からは見えてこない。

 映画で未来を予知したのは3人の予知能力者だったが、現実の刑務所でその役を担うのは過去の記録から導かれる統計だ。

 プロパブリカの記事には、アレクサンダー氏と同じTIGERスコアを持ちながら、法改正前の2021年に仮釈放を認められた男性も登場する。彼は薬物を断ち、トラック運転手として働きながら、約4年間一度も仮釈放の条件に違反していないという。

参考:Futurism、FOX 2 Detroit、ProPublica

関連キーワード:, ,
TOCANA編集部

TOCANA(トカナ)は、「ホントカナ?」を編集方針に、UFO・UAP、UMA、心霊、予言、超古代文明、都市伝説など世界の「謎」を追うオカルトニュースメディア。2013年の開設から13年、公開記事は2万本以上。
Twitter: @DailyTocana
Instagram: tocanagram
Facebook: tocana.web
YouTube: TOCANAチャンネル

※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。

人気連載

“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】

“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】

現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...

2024.10.02 20:00心霊

受刑者の「未来の暴力」をAIが予測!? 映画『マイノリティ・リポート』を思わせる刑務所の新分類システムが12月に始動のページです。、、などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで

トカナ秘密結社購買部