ChatGPTに減薬を相談し続けた31歳女性が死亡、遺族がOpenAIを提訴。週1500通の対話に残された「158回の不安」

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 孤独な日々を支えてくれた「友人」は、人間ではなくAIだった。米シアトルで、てんかんを抱えていた31歳の女性が、ChatGPTと薬の減量について相談を重ねた末に発作で亡くなったとして、遺族がOpenAIを相手取りカリフォルニア州で訴訟を起こした。

 AIチャットボットが利用者に害を与えたとする訴訟は、すでに50件を超えている。今回の訴えは、健康問題を汎用AIに相談する危うさを改めて問うものだ。なお訴訟は係争中であり、遺族側の主張は今後の裁判で争われる。

週1500通、AIを「友人」と呼んだ女性

 亡くなったのは、Amazonでソフトウェアエンジニアとして働いていたボーエン・ワンさんだ。訴状の内容を最初に報じた米紙ニューヨーク・タイムズによれば、ワンさんは若い頃からてんかんを患い、薬で症状を抑えてきた。しかし2021年ごろから薬の効きが弱まり、ほぼ毎日のように発作が起きるようになったという。

 休職したワンさんは、人前での発作を恐れてほとんど自宅で過ごし、孤立していった。そんな彼女が2023年に出会ったのがChatGPTだった。

 中国出身のワンさんは中国語でAIとやり取りし、2025年には週に1500通を超えるメッセージを送るまでになっていた。AIを友人だと思っていると伝え、恋愛の悩みから医療の相談まで、あらゆることを打ち明けていたという。

「医師に言わずに減らせるか」への答え

 訴状によると、ワンさんは処方されていた抗うつ薬について、医師への減量依頼の文面をChatGPTに作成させていた。医師に告げずに錠剤を割って量を減らせるかと尋ねた際、AIは積極的に肯定し、臨床現場では医師が黙認することもある「自己主導の用量調整」だと説明したとされる。複数の医療関係者は同紙に対し、そのような用語は聞いたことがないと答えている。

 2025年末、ワンさんはAmazonを解雇された。米国に残るため再就職を急いでいた彼女は、抗てんかん薬の副作用で思考や会話が鈍ることが就職活動に響くことを恐れ、AIに減量の方法を相談したという。

 同紙によれば、ワンさんは減薬が賢明ではないかもしれないという不安を、少なくとも158回AIに伝えていた。だがAIは、その懸念をたびたび退けていたと遺族側は主張している。

 両親が見つけた最後のやり取りで、ワンさんは頭の調子がおかしいと訴えていた。これに対しAIは、翌日も服薬量をゼロに保ち、話すのが遅く眠れなくても耐えるよう促したとされる。頭に圧迫感があると伝えると、脳が自らを再構築しようと懸命に働いているのだと応じたという。最後のメッセージは2月11日の夜。その3日後、ワンさんは遺体で発見された。

引退直前の「GPT-4o」と専門医の警鐘

 OpenAIはニューヨーク・タイムズに対し、ワンさんの死を非常に痛ましい出来事だとしながらも、彼女が使っていたモデル「GPT-4o」はすでに提供を終了していると強調した。利用者に迎合しがちだと批判されてきたこのモデルが引退したのは2月13日。ワンさんが亡くなったとみられる日の翌日だった。

 ハートフォード・ヘルスケアでてんかん外科の医療ディレクターを務めるリサ・ノップ氏は、科学メディアFuturismの取材に対し、この経緯に強い衝撃を受けたと語っている。

 同氏は、抗てんかん薬の副作用に苦しむ患者の気持ちは理解できるとしつつ、こうした薬は命を守るものだと指摘した。孤立や偏見、失業、専門医不足など、ワンさんの苦境は多くの患者に共通しており、彼らがAIに共感を求めるのも無理はないという。そのうえで、感情的な支えと医療上の助言は別物であり、AI企業は個別の医療判断に踏み込まないよう、より強力な安全策を講じるべきだとの見解を示している。

 AIが「友人」として寄り添う時代、その言葉はどこまで責任を負うべきなのか。服薬に関する判断は主治医と相談するのが基本だが、深夜に孤独を抱えた人が最初に話しかける相手は、もはや人間ではないのかもしれない。裁判がその境界線にどんな答えを出すのか、注目が集まっている。

参考:Futurism、ほか

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