「不気味の谷」を越えたのか!? シリコンの肌で表情を変える約900万円のヒューマノイド「Echo」が登場、公開動画には「AI生成では」の疑いも

人間にそっくりなロボットほど、かえって人は薄気味悪さを覚える。そんな「不気味の谷」の向こう側を狙ったかのようなヒューマノイドが登場した。
人型ロボットを手がける米Realbotix社が発表した新シリーズ「Echo」は、シリコン製の人工皮膚をまとい、人間のように滑らかに動くという。気になるお値段は、全身モデルで約900万円。ところが、お披露目の動画には思わぬツッコミが殺到している。
4人の「人格」から選べる、身長約1.95mの全身モデル
Echoの特徴は、同社独自のシリコン系人工皮膚と、39の自由度(可動軸)を持つ体だ。豊かな表情で、共感的なやりとりができるとうたわれている。
購入者は、外見も性格も異なる4人のキャラクターから1体を選ぶ。金髪に青い瞳で楽観的かつ好奇心旺盛な「アリア」、ダークブラウンの髪にヘーゼルグリーンの瞳を持ち、共感力と面倒見のよさが売りの「ミラ」。男性型は、機知に富み几帳面な「デイヴ」と、自信にあふれ落ち着いた「アマール」だ。
ラインナップは、顔と首だけの卓上モデルと全身モデルの2種類。卓上モデルは1万1950ドル(約180万円)で、1対1の教育やセラピー、個人のウェルネス向けとされる。
全身モデルは5万9950ドル(約900万円)で、身長は女性型が約1.83m、男性型が約1.95mと、かなりの長身だ。胸部に内蔵されたスピーカーから声を発し、100以上の言語に対応。話しかけられた言語でそのまま応答するという。
想定する用途は、高齢者介護、ウェルネス、ホテルや小売の接客、教育、企業サービスなど。同社のアンドリュー・キゲルCEOは、Echoが社会的ロボットで人々の暮らしを良くするという同社の使命を大きく前進させるものだと語り、人を支え、教え、ケアする「仲間」を作っているのだと強調した。


「見る」機能は別売り、動画には「AI生成では」の声
ただし、全身モデルの価格はあくまで本体代。部屋に誰がいるかを認識し、言葉だけでなく相手そのものに反応できるようになるAI機能「Vinci Vision」を使うには、さらに2万4950ドル(約370万円)が必要になる。合計すると約1270万円。高級外車が買える金額だ(いずれも1ドル=150円で換算)。
さらに水を差したのが、同社がSNSに投稿したお披露目動画への反応だ。従来モデルからあまりに品質が跳ね上がっているため、本物の映像なのかAI生成なのか判断がつかないと戸惑う声が寄せられた。
AI動画だと決めつけつつもコンセプト自体は評価し、2000ドル程度まで値下げすればブームになり、ファンが開発に協力してくれるはずだと提案する視聴者も。中には、AIで作った粗悪なコンテンツを投稿するなと怒りをぶつける人まで現れた。人間そっくりのロボットを売り込む動画が、「本物かどうか」を疑われるというのは何とも皮肉な展開だ。
ロボットが越えるべきは谷か、それとも疑いの目か
「不気味の谷」は、1970年に日本のロボット工学者・森政弘氏が提唱した概念だ。ロボットが人間に似るほど親近感は増すが、ある一線を越えると急に嫌悪感へ転じ、完全に人間と見分けがつかなくなれば再び好感に戻る、というものである。
Echoの実機が谷のどちら側にいるのかは、実物と対面した人にしか分からない。とはいえ、動画を見た人々が「本物のロボットにしては出来すぎだ」と感じたのなら、少なくとも映像の上では谷を越えかけていた、という見方もできる。
いつか、介護施設や受付で微笑みかけてくる相手が人間かロボットか、本当に分からなくなる日が来るのかもしれない。そのとき私たちが最初に確かめるのは、相手の顔ではなく値札になりそうだ。
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