報道内容と違うではないか! 【毒カレー死刑囚】林眞須美と会って深まる“印象操作・冤罪”疑惑!

――人を殺した人と会う。死刑囚の実像に迫るシリーズ【7】

 1998年に和歌山市園部の夏祭りでカレーにヒ素が混入され、60人以上が死傷した毒物カレー事件は7月25日で発生から17年になる。殺人罪などで検挙された林眞須美(54歳)は2009年に死刑確定したが、一貫して無実を訴え、現在も再審請求中だ。その執念が実り、近年は冤罪を疑う声も増えてきた。

 筆者が眞須美に初めて会ったのは、2007年の夏だった。眞須美は当時、一、二審共に無実の訴えを退けられ、最高裁に上告中。事件発生当初の報道で「平成の毒婦」のイメージを喧伝された眞須美だが、この頃には冤罪の疑いが指摘され始めていた。そこで一度本人に会ってみようと、収容先の大阪拘置所を訪ねたのだ。

「若いんやねえ。もっと上の人かと思うてたわ」

 ニコニコしながら面会室に現れた眞須美は、初対面なのにフレンドリーだった。筆者は当時すでに30代後半だったが、事前に出していた手紙の文面から眞須美はもっと高年齢の人間を想像したらしい。そして挨拶もそこそこに、自分の無実を矢継ぎ早に訴え始めたのだった。

「私が一審の公判で黙秘したんは、一緒に保険金詐欺で捕まった主人を先に外に出すためだったんよ。私の裁判は10年かかるって言われてたから、主人に子供たちの面倒をみてもらおうと思ったんよ」

「事件が起きた頃、私が紙コップを持ってカレーの鍋に近づいたのを見たって、マスコミに話しまくってた男の子がおったやろ。あの子、裁判に出てきてないんやで」

 大阪拘置所では、被告人の面会は1日に1回10分程度に限られている。眞須美はわずかな面会時間を1秒も無駄にしたくないようだった。その後、死刑確定するまで2年近く面会や手紙のやりとりを重ねたが、面会中はいつもまくし立てるような話し方だった。


■10年くらいは仕方ない

 眞須美の冤罪説が広まる中では、根拠の1つとして「眞須美はカレー事件のような金にならないことはしないタイプ」ということがよく指摘されてきた。これは筆者も同意できる。眞須美本人もこう言っていた。

「なんで私が、カレーにヒ素なんか入れんとあかんの。あの事件がなかったら今頃、うちはマンション建ててるわ

 カレー事件の発生後、眞須美が捜査線上に浮上したのは、事件前に夫の健治(70)と一緒にヒ素を使って保険金詐欺を繰り返していた疑惑が発覚したためだ。確定判決でも眞須美は健治と共謀のうえ、複数の保険会社から約1億7000万円の保険金をだまし取ったとされている。しかし実際には、夫婦は保険金詐欺で10億円はせしめていたという。

「だから10年くらいはしゃあないと思うんよ。でも、やってもないカレー事件のことで死刑はありえんわっ

 眞須美がそう言ったのは、逮捕から10年が経過した2008年頃のことだ。眞須美は深刻なことも面白く話す性格で、付き合っていて、飽きることがなかった。

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