東南アジアにあるインドネシアという国を知っているだろうか。バリ島と言えばわかる人もいるだろう。そのバリ島を含め、様々な島で構成されている世界最大のイスラム国家だ。南国の穏やかな観光地としてのイメージがあるかもしれないが、この国は多くの問題を抱えている。
■ストリートチルドレンであふれる街に空前のパンクブーム
1998年に崩壊はしたが、それまではスハルト政権による軍事独裁国家で、多くの国民が苦しめられてきた。スハルト政権崩壊後も、貧富の差は広がる一方で、インフラは整備されず、慢性的な渋滞に、病院も機能していない。一部の富裕層だけが幸せを享受し、多くの民衆は苦しい生活を送らざるをえない状況が現在も続いている。
貧困層は拡大の一方をたどり、金を持つ者だけが優先され、金の無い者は何も得ることができない。選択する自由すらなく、ストリートで生活するしか無いスラムの子どもたちが首都ジャカルタにはあふれている。
そのインドネシアという国では今、パンクという現象が大きな盛り上がりを見せている。
年端もいかない子どもたちから大人まで、かつての欧米諸国や日本などで起きたムーブメントをはるかに凌ぐ勢いで、インドネシアではパンクが若者たちの間に急速に浸透している。
社会への不満がパンクを産んだ理由だが、その精神を虐げられた民衆の間に広めたMARJINALというバンドがある。
インドネシアでパンクといえばこのバンドであり、ストリートチルドレンから大人まで、インドネシアのパンクスなら知らない者はいないバンドだ。