■些細な罪で投獄される貧困層に光を
インドネシアのパンクスの間では喫煙は当たり前の行為だ。イスラム・ムスリムが多いため、酒の入手には苦労するようだが、喫煙に関してはストリートチルドレンの子どもなども吸っているほど一般的だ。
そのためかどうか、インドネシアの刑務所内で受刑者たちはたばこを吸うようだ。そのときに、ペットボトルで灰皿を作っているらしく、マイクとボブは刑務所に訪れ演奏したときなどに受刑者からその灰皿の作り方を教えてもらい、自分たちでその灰皿を作り友人にプレゼントなどをしている。
それにより刑務所特有の灰皿をもらった人間も、インドネシアの刑務所内の様子を、一部想像することができるのだ。
「タリンバビ」で子どもたちにクリエイティブなことを教え、生活の糧になるようにしているMARJINALだが、クリエイティブなことで人に何かを伝えるという大切さを彼等がいつも実践していることが容易にわかる。
筆者もその灰皿をもらったのだが、今でも使用しているし、非常に使い勝手がいい。虐げられた人間たちの創意工夫が、生活の中でどれほど有効か使用することによって伝わる。
インドネシアという国は前述したように、一部の富裕層のみが幸せを享受し、国民の大多数を占める貧困層は何も得ることができない。
そして、些細な罪で投獄される。そこには彼等の仲間がいるだろう。どんなに重大な罪を犯しても金があるために捕まらない。そんな不条理がまかり通るのが世の中というものなのだろうか。
フクム・リンバ 「ジャングルの法律」
法は深い闇の谷間に葬られている
正義を反映していない
弁護士、陪審員、裁判官と検察官
みんな一つのことだけで判断を下す…金!
法はコントロールされている
金を有する者たちによって
法はもてあそばれている
権力を公使する者によって
取るに足らない盗人が有罪判決を受け
重大な犯罪者は保護される
法律は商品だ
製品は、被告人
金持ちは勝つ
貧乏人は、さようなら
正義はどこにあるのか
階級が見えるか
権力者が常に支配し
弱者は常に惨めであることを強いられている
MARJINAL2014年日本盤アルバム『SEJAJAR』より