エナジードリンクの飲み過ぎで脳が半分になったサラリーマン ― 額は完全消失、全くの別人に
今や働くサラリーマンの必須アイテムともいえる栄養ドリンク。日本のコンビニには実に数十種類ものドリンクが置かれているが、海外でもこうした商品に頼りながら自らを奮い立たせ、懸命に働く労働者は多い。しかし、アメリカのある新妻は、「元気を取り戻す」ためのこのアイテムが「夫の健康を奪う商品」だったとして、その実態を世に訴えている。
■仕事に励むあまりエナジードリンクを大量摂取
新妻のブリアンナさんは妊娠9カ月。もうすぐ増える新たな家族を、夫と共に心待ちにしていた。彼女の夫は生まれてくる我が子のために必死に働いた。会社でどんなストレスを受けようとも、男である自分がそれに耐え続け勤務しなければ、妻も子も路頭に迷わせてしまう……。
彼は心身ともに疲弊するたびに栄養ドリンクを飲み、こうして自らを奮い立たせていた。毎日の疲労に比例して栄養ドリンク数も増えていった。
アメリカ国立衛生研究所(NIH)によると、栄養ドリンクにはカフェインと砂糖がふんだんに含まれているため、過剰摂取により、重大な心拍リズムの乱れや血圧の上昇を引き起こすという。含まれている砂糖の量はドリンク1本につき砂糖大さじ3杯半。
さらに厄介なのは、栄養ドリンクに含まれているカフェインの作用により、ドリンクを飲んだ日にアルコールを摂取してもさほど酔わないケースが多いことだ。仕事帰りのサラリーマンにしてみれば「酔うためにバーに来たのだからもっと酒を飲もう」として、ついさっき栄養ドリンクを飲んだことを忘れ、「生ビールもう1杯!」なんてオーダーしてしまうこともあるだろう。また、アルコールは液体だから水分に見えるが、実はアルコールには脱水を引き起こす作用がある。
こうして、疲れたサラリーマンは、疲れとストレスを吹き飛ばそうと、砂糖、カフェイン、アルコールを過剰に摂取し、さらには脱水症状も手伝って、どんどん体を蝕んでいくのだ。全ては愛する家族のために……。
彼女の夫も例に漏れず、こんな毎日を送っていた。
「妻はもうじき出産する、僕は元気でいなくては! よし今日も1本栄養ドリンクを飲むとするか」
■2度の脳手術で額を失う
妻と子どものために元気な父親でいるために、彼は栄養ドリンクの量をガンガン増やしていった。そしてついに、出産予定を2週後に控えたある日、彼は倒れて入院し、緊急手術を受ける羽目になる。
身重の彼女は産婦人科から急いで夫の病院に向かった。そこで医師が彼女に告げたのは「旦那さんは栄養ドリンクの飲みすぎで脳の一部が破壊されてしまった」という残酷な所見だった。2度の脳手術を受けた夫の姿は、額を失い、全くの別人になってしまった。
彼女は今、生まれてきた乳児と、どうにか退院した夫の世話に追われている。夜泣きをする子どもに浅い眠りの中頻繁に起こされるなど、昼夜を問わず育児に励み、それ以外の時間は夫の言語及び作業療法などのリハビリに付き添っている。
夫の疲労を、今度は新米ママの彼女が受け継ぐ形になった。全ては家族を守るために。疲労も極限に達しているというが、夫の変わり果てた姿を見て、彼女は栄養ドリンクを飲まない。
彼女は世界のサラリーマンたちにこう断言する。「寝る間を惜しみ、仕事のためにとビジネス紙を読む時間を、少しでいいので、私の家族の実話を読む時間に充ててください」。
過重労働やパワハラなど、サラリーマンにとって極限のストレスが蔓延する現代の日本だからこそ、彼女の訴えは海外の珍話として受け流してはいけないことは確かだろう。
参考:「Collective Evolution」、ほか
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