銃創を15秒で塞ぐ注射器が誕生!!米軍が開発に参加した「XStat」のスゴさとは?

■開発の経緯

 開発に協力した、米陸軍特殊作戦部隊所属のジョン・スタインボー医師は、「私たちが当初思い描いていたものは、銃創にスプレーすると広がって、出血を止めるようなものでした」「しかし、傷付いた血管から流れ出る血液の圧力はかなり高く、スプレーした物質を流し落としてしまうことに気付いたのです」と明かす。

 そこでスタインボー医師を初めとする開発チームは、自動車の応急パンク修理キットに着想を得て、特殊なスポンジを用いて銃創を塞ぐ方法を考え出した。その後RevMedx社は、米陸軍より500万ドル(約5億円)に上る資金協力を得て、動物実験も重ねることにより「XStat」を完成させたのだった。ちなみに「XStat」のスポンジは、血液を受けることによって固まり、抗菌作用も備える「キトサン」という物質と、木材パルプを組み合わせて作られている。また、後に手術を受ける際に、体内にスポンジが取り残されることを避けるため、すべてのスポンジには、X線を受けると浮かび上がる文字が記されているようだ。

 

銃創を15秒で塞ぐ注射器が誕生!!米軍が開発に参加した「XStat」のスゴさとは?の画像3様々なサイズバリエーション「RevMedx社ホームページ」より

 現在、FDAによる認可を待つ段階にあるが、RevMedx社はすでに様々な傷口に対応すべく、3サイズの「XStat」を開発済みであるという。認可が下り、生産が開始された暁には1本100ドル程度で納入されることになるそうだ。スタインボー医師は、「私は中東において恐ろしい戦争を何度も経験してきました。ですから、兵士が撃たれた時、何が必要とされるかはよく分かります。この製品があったならば恩恵を受けていたであろう兵士たちを多く見てきましたが、その経験こそが私を『XStat』の開発へとかき立てたのです」と語っている。

 「戦争は技術革新の最大の動機となる」という言葉もいわれるが、この技術が応用され、戦場のみならず世界中の人々の生活の中で役立つようになる日が訪れてほしいものだ。何よりも「XStat」が必要のない世界となることが望ましいのだが……。
(スポンジ保父)

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