実験室内に男性研究者がいるとマウスに悪影響!? これってアノ細胞にも…?
皆さんの周りには、相手が男性か女性かによって態度を変える人はいませんか? たとえ直接関わらなくても、そういう態度にはあまりいい印象は持ちませんよね。しかし動物実験に使われるマウスにとっては、研究者が男性か女性かというのは非常に重要な問題のようです。
4月28日に科学誌「Nature Methods」にて発表された論文によると、男性研究者の存在はマウスやラットにストレスを与えてしまい、実験結果に影響をおよぼすこともあるそうです。研究を主導したマギル大学(カナダ)の研究者ジェフリー・モギル氏は、「以前から研究者の間ではそんな話がささやかれていましたが、誰も構造的に明らかにしようと来ませんでした」と語っています。そして今回、モギル氏が行なった「近くにいる研究者の存在がマウスの痛みの感じ方にどう影響するのか」という実験によりその存在がはっきりしました。
■男性研究者の前では強がり?
実験では、麻酔状態のマウスに催炎物質(炎症をおこす物質)を打ち込んだ後、目を覚ましたマウスの表情の変化を記録しました。表情の変化はマウスが感じている痛みを反映しているので、研究者の有無によって差異が出るかを調べることができます。
その結果、男性研究者が実験室内にいる場合は誰も居ない場合に比べて約40%痛みを感じにくくなっていました。また、男性研究員が着ていたTシャツをそばに置くだけでも同じように痛みを感じにくくなっていました。逆に、女性研究者が実験室内にいる場合は誰も居ない場合と比べて変化はありませんでした。
マウスが痛みを感じにくくなったのは、ストレスの副作用だと考えられます。ストレス状態にさらされたマウスは、「コルチコステロン」というホルモンの分泌が増加します。その作用によって痛みを感じにくくなることから、マウスは男性研究者にストレスを感じていたといえるわけです。
そして男性研究者が実際にいなくても、Tシャツがあるだけでストレスを感じていたことから、その原因は匂いにあると考えられています。実際に研究班ではその原因となる匂い分子を、脇汗に含まれる物質などにしぼりこみました。マウスはその匂いから他の生物のオスの存在を感じ取り、「恐怖」を覚えることでストレスを受けているようです。
■研究者の性別が影響する分野が他にもあるのか?
この結論は他の研究にも影響を与える可能性があります。なぜなら、研究者の性別に配慮していない実験は、マウスにストレスを与える要因を考慮していないということになるからです。つまり、ストレスが関係する現象において正確な研究をするためには、実際に実験を行なった研究者の性別を記録するか、取り組む研究者の性別が偏らないようにしなければなりません。モギル氏は「ストレスはほとんどの現象に関係している」と、その配慮の重要性を説いています。
そうなってくると気になるのは例の細胞のことですよね。トカナでは以前、「STAP細胞を小保方さんだけが作れるのは超心理学的な“実験者効果”の要素があるのではないか」とお伝えしました。もし研究者の性別が細胞レベルでマウスに影響を及ぼす新事実があれば、それこそが実験者効果の正体かもしれませんね。
(文=杉田彬)
参考:「Scientific American」、「nature.com」
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