人類の言語のルーツは「鳥の鳴き声と霊長類の歌声」だった?
■ネアンデルタール人もお喋りを楽しんでいた?
2013年の調査で、ネアンデルタール人は現代人とほぼ同じように喋れたという説が発表されたことから、ネアンデルタール人が言葉を用いてお互いに会話をしていたと考え始める研究者が増えてきたようだ。その主な要因に1989年に発見された、ネアンデルタール人の舌骨の化石がある。この舌骨はU字型をしていて、他の骨と関節がない首の骨である。首の筋肉によって支えられ、舌の根元を支持することで人間は言葉を発することが出来るのだが、これが発見されるまでは現代人のみが喋ることができると考えられていた。
この発見はこれ以降の調査に大きな変化をもたらすことになり、宮川教授をはじめ、この調査に参加している東京大学の研究者は「この仮説については、より多くの研究を重ねるべきだ」としている。
宮川教授との共同執筆者である、ロバート・バーウィック氏は、掲載された心理学系雑誌の中で、研究者達が「人間が鳥と霊長類の鳴き声をコピーした」と主張している事に対し「これがどの様に合わさって、人類の言語に発展していったのか未だに調査中だ」と述べている。
さらに「ここに鳥を真似て音を発するようになったという部分と、サルを真似て感情を表すようになったという部分の二つがあります。これらを合わせる事で、新しい何かが見えてくるのです。タイムマシーンに乗って何が起こったのかをこの目で見に行く事はできませんが、こうして二つを組み合わせてゆく事で私達は言語の起源を思い描く事ができるのです」と語っている。
いかがだったであろうか。私達が何気なく喋っているこの言葉がどのようにしてここまで発展したか、など普段は考えないかもしれないが、こうして何万年も前から人類の工夫や努力があって今日、私達はこうして喋っているのだ。「言語」というものを有難いと思う気持ち、そして生きていく上でとても大切なツールなのだと認識しなくては、と考えさせられた。
鳥や霊長類に失礼のないよう、なるべくお下劣な言葉を言わないで生きていこう、と思う今日この頃である。
(文=清水ミロ)
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