撮影:鈴木信彦
■渋谷の街を往く若者達には闘っているイメージがある
鈴木氏 鈴木さんは渋谷だけでなく、銀座や新宿でも撮影していました。最近は、渋谷以外の場所で写真を撮ることはあるんですか?
鈴木氏 ないですね。
ーーどうして渋谷なんでしょう?
鈴木氏 渋谷ってなんか、闘っているイメージがあるんです。
ーー闘っているイメージ? それは、誰と誰が、あるいは誰が何と闘っているんでしょうか?
鈴木氏 渋谷は若い人が多いでしょう。若い人っていろんな葛藤があると思うんですよ。生きているなかでいろいろと。若い時の突っ張り方って中年と違うでしょう。ハングリーで「俺が一番だ」っていうような。若いぶん、経験とか実績みたいな根拠が無くても「俺が一番だ」っていう我の強い人が多かったりするわけじゃないですか。たとえば、「私のファッションが一番格好いい」とか。そういう闘いが渋谷にはあるんですよ。
ーー確かに、「何者か」になろう、あるいは「何者か」でありたい、と思っている若者達が渋谷に集まってきているような気がします。
鈴木氏 渋谷にやってくる若者達は、彼らにとってのベストの状態でくるわけだから個性が出てくる。そうすると、ビジュアル的にも華があるし気持ちから生まれるオーラも放っています。そいうのって結構目立つし、見ていて面白いんですよ。熱があるっていうかパワーがあるっていうか。年を取ると人間って変わりますよね。社会人になると急に真面目になっちゃったりする。「若い頃はああいう時もあったよな」みたいに。でも、渋谷には変わらずギラギラとした若者達が集まってくるから、いつも初々しい。それに、街中が明るくていいですよね。音楽もかかっているし。