撮影:鈴木信彦
■1冊の写真集との出会いが、ファッションデザイナー志望の若者を写真家への道に
ーー鈴木さんが写真を始めたのは25歳の時。それまでは、専門学校でファッションの作り手になるための勉強していたと聞いています。どうしてファッションの世界から写真に移ろうと思ったのですか?
鈴木氏 当時文化服装学院に通っていて、ファッションデザインの素材になるようなイメージを自分の頭にストックするために、画集とか写真集とかを片っ端から見てたんですね。服を作るうえでインスピレーションを受けられそうなものを。その時に北島敬三さんの『NEWYORK』っていう写真集をたまたま見たら、カッコいい写真がいっぱいあったんですよ。それで、写真を撮りたいと思ったんです。そうなると、カメラが欲しくなる。タイミングよく、ちょうどその時期にとりあえず誰でも写真を撮れるオートフォーカスの一眼レフカメラが出回り始めたんです。それで、ちゃんとした写真を撮ろうと思って「EOS630」っていうキャノンの一眼レフカメラを買って撮り始めたのが最初です。もし、『NEWYORK』じゃなくて、なにか素晴らしい画集に出会っていたら絵を描いていたかもしれません。