もしも世界中の火山が一度に噴火したら…!? 我々の想像を超越する「暗黒の世界」
大地震に津波、大洪水や台風など、日本のみならず、ここわずか数年で世界中でかなりの数の大災害が起こり、人々を恐怖に陥れている。最近では御嶽山の噴火が記憶に新しく、防ぎようのない自然災害の怖しさを改めて知らされた。その噴火について、科学情報サイト「Live Science」が興味深いシミュレーションを起こしている。
■1,500の火山が地球上で一斉に噴火したら…
地球上には現在、1,500個もの活火山の噴火口があるとされている。ただしこれは地上で確認されている数だけであり、これに無数にあるといわれる海底火山の存在を加えなければならないのだ。
事実、小規模の噴火は地球の何処かで毎日10~20の火山で起きているのだという。専門家らは 地球上の活火山が一度に噴火する可能性は極めて低いとしている。だがもしそれが起こってしまったら!? 地球は、人類は、生き残れるのだろうか?
「No、ほぼ無理だろう」と米バージニアのラッドフォード大学の地質学者、パーブ・セティ博士は言う。噴火がもし特定の限られたエリアのみであったとしても、地下のマグマが一気に地上に噴出する壊滅的な噴火である「破局噴火」が起きると、核戦争によって訪れるといわれている氷河期「核の冬」以上に強力で、長期に渡る大規模環境変動、つまりは氷河期が発生し、人類が生存できる環境ではなくなると語っている。
■生態系の破壊と寒冷化は避けられない
まず、どのような事が起こりうるのか詳細をみていこう。
世界規模の噴火による大災害では大きな二つの危険要素は火山灰と火山ガスが危惧される。もちろん噴火時にも溶岩や噴石が近くに住む人々を直撃したり危険な目にあわせるが、灰とガスによる気候の変動は圧倒的多数の人々を巻き込んでしまうのである。
火山灰の厚い層はやがて地球をすっぽりと覆い、太陽の光を完全に遮断してしまう。この地球の暗黒化は生物の光合成を不可能にし、農作物を生み出す土壌を破壊し、温度が急落することを意味する。灰が大気中から消滅するのには、少なくとも10年かかるという。
噴火後にやがて降り出す雨――。火山ガスは塩酸、フッ化水素、硫化水素と二酸化硫黄を含み、それらを含んだ酸性雨が火山灰の中でも生き延びた作物を枯らせてしまうのである。
さらに土壌に染み込んだ酸性雨がやがて海へ流れ出し、海中のサンゴや貝を死なせてしまう。これら海洋生物の絶滅は魚をはじめとする他の海洋の生態系に影響を及ぼしていく。
噴火時に噴き出す風は灰やほこり、ガスが成層圏にまで達する。これらの細かい粒子は日光を跳ね返し結果的に地球を冷却する。火山ガスは二酸化炭素ガスなどの温室効果ガスも含むのだが、日光の遮断による冷却効果はそれを上回り、実際には寒冷化してしまう。
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