UMAの存在を否定する人に読んでほしい「代替生物圏」説!

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 あなたは、UMA(未確認生物)の存在を信じるだろうか。時にそれらは、生物学の常識とかけ離れたものと見なされるため、恐らく懐疑的立場の読者も多いことだろう。しかし、超常現象の世界とは無縁にも思える経歴の人物が、UMA目撃談を書き残しているケースも少なくないのだ。今回は、著名作家が戦前に海外で遭遇したUMAについて紹介した上で、それらは一体何者なのか考えてみることにしたい。

作詞家・奥野椰子夫が出会ったUMA「ナーガ」

 日本の作詞家である奥野椰子夫は、第二次世界大戦前に都新聞(みやこしんぶん)の記者を経てコロムビア・レコードに入社した。戦後、1947年(昭和22)年に二葉あき子が歌って大ヒットした「夜のプラットホーム」も奥野の作詞で、その後は日本音楽著作権協会監事などを務め、昭和56年に他界している。その奥野も、戦時中のUMA目撃談を書き残している人物の一人だ。

 時は1943年(昭和18年)5月、日本がまだフランス領インドシナを支配していたころだ。当時の奥野は、コロムビア・レコードの社員としてサイゴン(現ベトナム・ホーチミン市)に赴任していた。レコードの材料となる樹脂を探してラオスに入ったとき、メコン川流域のパクセという町で、ドンチャンという集落近くのボア沼に「ナーガ」と呼ばれる巨大な生物が棲んでいるという話を聞いた。

 「ナーガ」とは、本来インド神話に登場する巨大な蛇、あるいは蛇神の呼び名だが、現在では東南アジア全域で、神話に登場する巨大なヘビや、伝説上のヘビのような生物を指す言葉として用いられている。実際マレーシアのタセク・ベラ湖に住むというUMAも、現地人はこの名で呼んでおり、タイで目撃される謎の火の玉のことも、「ナーガ」が吐き出しているとの伝承から「ナーガ・ファイアーボール」と呼ばれている。

 ともあれ奥野は、噂のボア沼を訪れ、実際に「ナーガ」と思しき巨大な生物を目撃したというのだ。奥野は、『週刊現代』(1964年1月1日号)で次のように証言している。

「それは爬虫類でもなければ四足獣でもない。――鋭利に分かれた一メートル近い二本の角を振り立て、狼のような避けた口を持ち、首から下は青光りを放つ黒褐色とでもいおうか、ヌメヌメした水で濡れたような鱗があり、断じて毛に覆われていない。しかも一メートルほどの肢のようなものが、木に鋭い爪をかけ伸び上って来た。そして、そこから沼があるために木の掛りがないので、後体を大木にすがらせ前身を中空に、右、左と泳がせている。胴まわりは一メートル、腹部あたりは三メートルはあろうか」

「やがてその異体は、首を垂らして土に着くや、沼をめがけて滑り出した。滝のように胴から後尾へと地面に流れ落ちる。ザーッという摩擦音が連続する。爛々としてた鋭い眼が、二、三度私たちを振り向いた。尾は次第に細目になり、プツンと切れている。芦の生えた汀があれで三メートルはある。その動物がガバガバと頭部を水に浸したとき、まだ後尾は後方の林に残っていたことから考えて、優に八メートルはあろうと推定したわけだ。――異体は天を指した二本の角と頭の一部を水面に見せて、太い長い全身を水中に真直に流し、彼方へ向かって泳いでいった。――白い波頭を立て、二本の角だけが次第に遠ざかる。それが微かに右へ向きを変えると、水面の角が短くなり、スーッと水中に姿を消した」(原文ママ)


 さて、奥野の証言が正しいとすると、この生物は既知のいかなる種類とも異なる姿形をしている。実は、世界中で目撃されている数多くのUMAの中にも、生物学の常識からは到底存在し得ないようなものが多いのだ。

 たとえばトルコ東部のヴァン湖には、「ジャナーヴァル」という怪獣が棲むとされるが、ヴァン湖の水はかなり強いアルカリ性のため、食料となり得る魚は限られた種類しかいない。イギリスのネス湖をはじめ、怪獣目撃談がある湖の多くも、巨大生物を養うのに充分な生態系ではないとされている。我が国に目を向けても、昭和の後期まで四国の剣山や広島県の蛇円山などで大蛇の目撃談があるが、化石時代も含め、日本に全長10メートル以上の巨大蛇が存在したことはないのだ。では、こうした目撃はすべて幻覚や何らかの誤認、あるいは悪意のある捏造だったのだろうか。

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