稀に見る大きな歯に強靭な顎…台湾沖で発見された新種の古代人とは?
わたしたち現代人のルートを紐解けば、言うまでもなく原始地球上にいた“祖先たち”に行き当たるだろう。未だ、この祖先たちがどのような“存在”であったかは諸説入り乱れている。だが、その中のひとつである“ホモ・サピエンス”に、この度台湾で発見された新種と見られる古代人の存在が大きく影響を及ぼす可能性が浮上した。
■台湾の漁師が仕掛けた網から発見! 20万年前の“顎”
わたしたちが歴史の授業で学習したような、これまで広く知られていた古代人・原始人とは違う種の化石が、台湾で発見されたと、1月末に「DailyMail」が報じている。

台湾に住む漁師が台湾本島から西に25キロ離れた海域で漁網を引き上げていた際、顎の化石とみられる物体を発見したそうだ。こちらは、年代にして今からおよそ20万年前、台湾がアジアの大きな大陸とつながっていた“更生期”と呼ばれていた時代のものだという。
人類学者によると、アジア圏には「ホモ・エレクトス」と呼ばれ、現代人に近い脳の容量・容姿をもつ種の存在が確認されていたが、今回の化石は東アジアでこれまで見つかっていた古代人の化石のどの種よりもはるかに大きな歯、短くて太い顎をもっているといい、現代人が登場する5万5,000年前のアジアにもいくつかの異なる種の古代人が存在していたという新たな証拠になるのだという。
■ロシアが起源? アジア圏古代人とは違う「Penghu 1」の起源
今回発見された新種の古代人の化石は、発見された澎湖(ほうこう)島の英名であるPenghu(ポンフー)にちなんで、専門家らなどにより「Penghu 1」と呼ばれている。
一般的に古代人類の顎と歯は、時代が新しいほどに小さくなっていた。だが、この「Penghu 1」は、明らかに違う進化を遂げており、一部の人類学者からはシベリア、アジアに住んでいたネアンデルタール人の一種、デニソワ人に最も近いのではないかと考えられているそうだ。
ロンドン自然史博物館で人類の起源について研究するユニットのリーダー、クリス・ストリンガー教授はまた「この未知の化石を分類することは困難であるが、5万5,000年前にも既に多様な人種が存在していたという予想外な事実だけは証明された」といい、さらに「この顎骨は、ネアンデルタール人以前に存在したホモ・ハイデルベルゲンシスというヨーロッパやアフリカの化石にもいくつかの共通点がある」と加えている。
今回発掘されたPenghu 1たちは、最初の現代人が登場するほんのわずか前まで存在していたわけだが、他の古代人とは異なる体質・骨格をもっていた彼らは一体どのように生きていたのか――。科学的な研究が進められることに大いに期待しつつ、人類の進化とそのプロセスという広大なロマンを感じずにはいられない。
(文=ODACHIN)
参考:「Daily Mail」ほか
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