「ナチスの秘宝」探索が再開 — ポーランドの森に眠る“世界8番目の不思議”と黄金の謎

貴重な芸術品、大量の黄金、そして「世界8番目の不思議」と謳われた伝説の「琥珀の間」。第二次世界大戦中にナチス・ドイツによって略奪され、歴史から姿を消した数々の秘宝をめぐる、新たな探索がポーランドで本格的に始まった。
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2015年、埋蔵された「ナチスの黄金列車」の発見が報じられ、世界中が色めき立ったが、結局何も見つからなかった。しかし今、一人の歴史愛好家が、新たな証拠を手に「今度こそ本物だ」と主張している。ポーランド当局もついに許可を出し、この夏、再び壮大なトレジャーハントの幕が上がる。
消えたロシアの至宝「琥珀の間」
第二次世界大戦における最大のミステリーの一つが、ロシアの至宝「琥珀の間」の行方だ。
1701年にプロイセンのフリードリヒ1世によって作られたこの部屋は、壁一面が琥珀のモザイクで飾られ、その輝きは「世界8番目の不思議」と称された。1716年にロシアのピョートル大帝に贈られたが、ナチス・ドイツがロシアに侵攻した際、27個の木箱に詰め込まれ、ドイツの都市ケーニヒスベルク(現ロシア領カリーニングラード)へと運び去られてしまった。
ケーニヒスベルク城に展示された「琥珀の間」だったが、ロシア軍の空襲が始まると、その姿は歴史から忽然と消える。本当に運び出されたのか、それとも空襲で焼失したのか、その運命は今も謎に包まれている。

暗号電報と元ナチス高官の“遺言”
しかし、「琥珀の間」は現存するという希望が、トレジャーハンターたちを突き動かしてきた。終戦直後、ナチス親衛隊(SS)の元高官たちが交わした不可解な電報。そこには、1945年にケーニヒスベルクからベルリンへ向けて、ある「貨物」を輸送したものの、目的地には到着せず、「BSCH」というコードネームの場所に急遽隠した、と記されていた。
そして1997年、ドイツ当局は「琥珀の間の一部」を売ろうとしている人物がいるとの情報を入手。ブレーメンのある事務所に踏み込み、実際にモザイクパネルの一部を発見した。しかし、売り主は元兵士の息子で、父親がどうやってそれを手に入れたかは知らない、と語るのみだった。
新たな隠し場所は「元SS訓練施設」の地下壕か
今回、新たな探索に乗り出したのは、ポーランドの船舶無線技士で歴史愛好家のヤン・デリンゴフスキ氏だ。彼はポーランドのポモージェ地方ブルシという町の近くにある、元SSの兵舎跡地に巧妙に隠された地下壕(バンカー)があると確信している。
彼の説の根拠は二つある。一つは前述のナチス元高官たちの暗号電報。そしてもう一つは、悪名高いバルチェボ刑務所の元収容者から聞いたという、衝撃的な証言だ。
この刑務所には戦後、東プロイセンの元最高責任者であったエーリヒ・コッホというナチスの戦犯が収監されていた。彼は約40万人のポーランド人殺害を幇助した罪で死刑判決を受けたが、なぜか刑は執行されなかった。ポーランドやソ連の諜報機関は、彼が「琥行の間」の隠し場所を知っていると睨み、情報を引き出そうとしていたのだという。
デリンゴフスキ氏によれば、コッホは1980年代に亡くなる直前、同室の囚人に、ケーニヒスベルクから運び出された秘宝の運命を語ったという。その囚人から話を聞いたデリンゴフスキ氏は、トラックに積まれた芸術品や黄金は、ベルリンへ向かう途中で進路を変え、チェルスクとチュウフフの近くに隠された、と主張する。
彼は、電報の暗号「BSCH」が、ブルシのSS訓練施設内にある湖畔の盛り土を指す「Bruß Schutzraum」の略だと解読。地中レーダーによる調査でも、「隠された地下壕と一致する異常」が確認されたという。
ポーランドの記念物保護当局は、ついにデリンゴGGフスキ氏に発掘許可を与えた。「私たちの目標は、この歴史的な景観を保護しつつ、物語の背後にある真実を明らかにすることです」と、当局の広報担当者は語る。
果たして、ポーランドの森の奥深くには、本当に「琥珀の間」とナチスの黄金が眠っているのだろうか。この夏、80年の時を超えた壮大なミステリーの扉が、再び開かれようとしている。
参考:The Courier Mail、ほか
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2024.10.02 20:00心霊「ナチスの秘宝」探索が再開 — ポーランドの森に眠る“世界8番目の不思議”と黄金の謎のページです。ナチス、財宝、琥珀などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで