歓迎か?警戒か? 地球外生命体をめぐって科学者が本気で議論!

■地球外生命体は警戒すべき。「反アクティブSETI」の意見は…

 しかし、このように積極的に地球外生命体と接触を試みることに人気SF作家で物理学者のデビッド・ブリン氏は「宇宙にはどのような地球外生命体が存在するのか、また彼らが我々人類と接触するその動機など未知なる部分が多すぎる」と、一部の科学者の好奇心だけでなく全人類で検討すべき重要なことであると強調している。腹の底が読めない地球外生命体と今後取引をする場合、もっとも重要な資産となるのは“情報”であり、これは地球を守るためにも必ず保護しなければならない、と語った。

 また衛生面からも宇宙生物学者が警鐘を鳴らしている。地球外生命体はあらゆる宇宙の微生物を運び込む可能性があり、現在の人類の免疫力では太刀打ちできない細菌やウイルスが存在する危険性もあるという。また逆に地球の微生物が他の惑星の生命体に及ぼす影響もあり、我々人類の浅い歴史では微生物の世界など未知のレベルであると指摘している。


■接触を試みるのは時間の無駄?

歓迎か?警戒か? 地球外生命体をめぐって科学者が本気で議論!の画像2フランク・ドレイク博士 「Boing Boing」の記事より

 このことからフランク・ドレイク博士は高度な知的生命体に接触をすることに多くの利点があったとしても現段階で接触を試みることは愚かなことだ、と主張している。

 フランク・ドレイク博士とは、我々銀河系に存在する人類とコンタクトできる可能性のある地球外文明の数を推測する方程式を考案した人物であり、SETI最初の実施者である。SETIのシンボルともいえるドレイク博士がSETIの責任者の意見に真っ向から反論する発表をしたのだ。

 その理由として、今、地球外生命体と接触するプロジェクトを開始したとしても50~100年は何も利益を得ることはなく、我々が持つ時間、資金、能力をもっと有効に使うこと考慮すれば、宇宙にメッセージを送信することは時間の無駄である、と一刀両断。また人体の最速許容である1/10の光速速度で付近の惑星へ100年の宇宙飛行した場合、(現在の我々の科学技術では)米国すべての財政支出200年分と同等の費用が必要になる。太陽系の中で移動することができるのは最も進んだ地球外文明だけであろう、とドレイク氏は主張する。


■今後の方向性は…

 今後我々の存亡を分ける両者の意見は年々ヒートアップしているようだ。地球外生命体という見知らぬ相手に自身の情報をぺらぺら教えるのは危険という慎重派と、すでに情報は漏出しているのに危害を与えてこないのだから積極的にコンタクトをとりたいという友好派。あなたの意見はどちらであろうか。
(文=遠野そら)

参考:「Boing Boing」ほか

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