マリファナでキマった僕がその時語った「デッドヘッズの予言」

マリファナでキマった僕がその時語った「デッドヘッズの予言」の画像194年ラスベガスショーにて。最高に盛り上がる曲が始まった瞬間! この人数で、会場全体の四分の一程度

 グレイトフル・デッドを追って、アメリカはサンフランシスコへ渡ったSHIN氏だったが、ある日、ヒッピーからもてなされた大量のマリファナを吸うことになり、ある「ビジョン」が与えられた。それが実際に現実となって……。

人生を変えることになった、真のグレイトフル・デッド体験のすべて。

【前編はこちらから】http://tocana.jp/2015/04/post_6243.html

■グレイトフル・デッドについて

SHIN グレイトフル・デッドにあまり詳しくない人はGrateful Deadのことを「偉大なる死」と勘違いして翻訳する人が多いけど、Grateful(感謝する)とGreat(偉大な)ではスペルと意味が異なる。本当の意味は「感謝する死者」です。

 これは死に感謝するイコール、人間は死んだ後の世界の方が幸せ? デッドショーにいるヒッピーやファンたちが、ひょっとしたら自分は死んでいるんじゃないかという神秘的な疑似体験をすることも表しています。

マリファナでキマった僕がその時語った「デッドヘッズの予言」の画像2MOONSTRUCKのオーナーでデッドヘッズのSHIN氏がデッドショーで物売りをしている写真

 生と死の境目が怖くなくなるため、「死んでもいい」とデッドヘッズたちはよく口にするんです。実はこれが死後の世界で、もう1次元違う世界。こんなに平和で幸せでフワフワした何十万人もの人々がハッピーで笑顔でいられる。そんなことを思える場所ってデッドショー以外になかった。

 たとえば、会場で誰かがビールの瓶をパリーンって割ってしまっても、「Where aye you from?」などと優しく振る舞いながら、ガラスを拾い合い、助け合いをすることがデッドの世界では当たり前。安全で平和なのがデッドショーなんです。

 音楽だってもちろんいい。ジェリーのギターは、毎日、聴いても飽きない、こんなに大人の音を出す渋いギタリストは少ない。ド下手にも神懸かり的天才にも聴こえるところも含め、サイケデリックなんですよ。

■ボング(巨大なマリファナ吸引器)でボコボコに

マリファナでキマった僕がその時語った「デッドヘッズの予言」の画像3西海岸のデッドショーで有名な、名物フリーマジックバス。金持ちの社長さんがデッドヘッズ達のために、フリー(無料)でヒッチハイクできるように作ったもの

――日本へ帰国した理由を教えてください。

SHIN アメリカでの生活の後半、日本から彼女がやってきて、一緒にデッドを追うことになりました。僕がデッドショーの会場近くでいろいろな服を※タイダイ染めにしていると、ヒッピーのファミリーが、「おいでおいで」と言ってきて。

※タイダイ染め=渦を巻いた多彩な色調で絞り染めがされた服のこと。80年代からデッドショーでハヤり始めた。染料さえあれば白色のシャツなどを自らの手で染めることが可能なため、自分でタイダイ染めをするヒッピーも多い。

「あなた、やっていることがクレイジーで面白いよ。子ども服と女の子のパンティをタイダイ染めにして干しているとは、どういうことだ。ちょっとこっちに来なさい!」

マリファナでキマった僕がその時語った「デッドヘッズの予言」の画像4このように心と心が通じ合うハグの瞬間は、格別な心境になるという

 そこで、もてなしのためのボング(巨大なマリファナ吸引器)をやらされて、ボコボコになってしまった。呂律も回らなくなるくらいに。

 その時、そばにいた彼女に、「俺が言うことを今から録音せよ」と言って録音させた言葉があるんですね。それは……

「俺は天才であり、俺は予言者であり、それを今まで一度も理解しない日本人たちよ。今、すべてのことが手に取るように分かる。俺には9000万~1億くらいのネタがあるぞ。これは、予言すべきものであり、生き方としてすべての日本人が知るべき知識であり、最も今、日本に足りないことだ。それがデッドショーにはある。

 俺がこれまで教わってきた学生時代の先生たちとは真逆の生き方であって、原始の生き方そのものであり、本来、人間が生まれ持っている表現をすることこそが重要だ。素直にストレートに人を褒める。そこにねたみや悪意は一切ない。この世界こそ、このファッションこそがすべてである。

 朝までしゃべりました(笑)。なぜ、ノンドラッグ・ノンアルコール主義の僕が※ハードなマリファナを吸ったのか、今もって不思議に思います。あんなにも大量に吸ったのは、後にも先にも最初で最後。だけど、きっとあの体験は吸い寄せられたのであり、自分の中にあったものを噴き出させるための必然的な出来事だったのでしょう。 そして、すべてに意味があるヒッピーファッション。タイダイ染めやパッチワークは汚れが目立たない、キマってる時に見るとサイケなビジョンが見えてくる。天然ドレッドも頭皮だけを洗い、ちゃんとビーズをはめて毛繕いをすれば、自然でとても美しく見える。ヒッピーの世界にはすべての物事に意味があって、100あれば100返せるようになった段階がデッドヘッズなのだ」

※ハードなマリファナ=あくまでも、当時のアメリカでの出来事である。また、デッドヘッズの中には、何より大事なのは考え方とソウルであるとの信念を持つ、ノンドラッグ・ノンアルコール主義者もたくさんいたそうだ。SHIN氏も、基本的にはそのタイプであるという。

 蛇足だが、デッドヘッズのうち8割を占める人々がドラッグとグレイトフル・デッドの音楽がワンセットであると考えていることから、ドラッグを常用し続けた結果、頭にシラミがわく、歯が抜ける、美しい金髪のドレッドが抜け落ちるなどの依存症を経て、最後には廃人化してしまう者も。多くのヒッピーが美しいのは一瞬で、まるでウスバカゲロウのような存在だとSHIN氏は語る。

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