サイババとの接近遭遇 ― 私が実際に見たサイババ

■サイババとの接近遭遇

 期間中、サイババに個人的にインタビューに呼ばれることはかなわなかったが、私などよりも遥かにふさわしく、救いの必要な人は、ごまんといよう。そのかわり、サイババが登場して決められたコースを練り歩くダルシャンでは、クジ運が良かったおかげで、最前列に座ることができた。精妙なBGMが始まり、サイババが登場した。おおっ、とざわめいた。

 サイババがこちらの位置に近づくにつれ、周囲の人々が身を乗り出し始めた。中にはザリガニのように床に這いつくばって足に触れようとする人もいる。私も胸のところで手を合わせ、膝立ちになった。サイババと目と目が合った。いや、というより、数メートル手前から明らかに私の顔をじっと見つめている。糸井重里氏によると、サイババは不機嫌でかつ「不気味な深海魚」のような顔だったらしいが、眼前にいる人物はどう見ても小さな孫を見つめる祖父のような柔和な表情をしていた。理由は分からないが、やけに眼差しが温かいというか、慈愛に満ちている。しかも、満面の笑みだった。むろん、私の主観にすぎない。サイババのほうは単に私の顔が面白かったのかもしれない。あるいは、「カモがはるばるよう来たのう」と思って、ほくそ笑んでいたのかもしれない。

 近くで見て初めて気づいたのだが、サイババは明らかに身長150センチ代の小男だった。あの凄まじいアフロヘアと貫禄で大きく見えてしまうらしい。サイババが微笑みながら、私の真ん前に差し掛かった。這いつくばれば足に手が届く距離だ。今にして思えば、私は物凄い悪人なのだろう。突然、「今サイババに飛びかかったら、どうなるだろうか?」という不埒な考えというか、ほとんど衝動が起こった。というのも、もし本当に神なら、私が飛びかかった際に、なんらかの見えない力で跳ね返されるか、あるいは体が痺れて動けなくなるといった“奇跡”が体験できるに違いないと考えたからだ。我ながら馬鹿としか言いようがないが、結果的になんとか衝動を抑え、事なきを得たのだが――。
(後編につづく/文=山田高明)

 後編は「日本初発表・サイババの予言

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一般の学問外に位置するスピ系・聖書預言・影の政府と陰謀論・エイリアン問題などの「超常分野」に詳しい。その種のオカルト知識と現実の政治・経済・歴史の知識を併せ、世界の秘密に迫ろうとしている。かつてはオカルト批判派だったが、今では2020年代・30年代の人類史的危機に警鐘を鳴らす側に回った。その一端を記した近著『神々のアジェンダ』(サイゾー刊)が話題になる。現在、ブログフリー座は月間30万アクセス程。その他新世界よりも好評運営中。

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