赤ちゃんの「へその緒」切断を3分遅らせるだけで“発達が促進”される?
生まれたての赤ちゃんのへその緒――。これをカットするのを3分ばかり待つことで「子どもの発達が促進される」という喜ばしい研究結果が発表された。
■へその緒を切るタイミングをずらして4年後に調査
5月27日付の英紙「Daily Mail」によれば、この研究はスウェーデン・ウプスラ大学のウーラ・アンデルソン博士らによるもので、無作為に選ばれたスウェーデンの新生児382人の“へその緒を切るタイミング”に変化をつけて調査したものだ。
1.出生時10秒以内に切断
2.最低でも3分遅らせて切断
上記の2グループに分け、4年後にそれらの子どもたちの発達具合を調査したのだ。ちなみに、2012年の米国産科婦人科学会(ACOG)調べによると、平均して15秒~20秒の間に行われているという。
アンデルソン博士は「Reuters Health」の取材に対し、「ぱっと見て、どの子もこれといって違いは感じませんでした。またへその緒を切断(臍帯クランプ)したタイミングを問わず、ほぼ同等の知能を持っていました」と語っている。但し、ある一点を除いて。「微細運動機能」に違いが現れたのだ――。
微細運動機能とは、微妙な筋肉運動の整合のことを意味する。たとえば、モノをつまんだりひっぱったり、字を書くとき、きちんと鉛筆を持てるかなどの運動だ。調査結果では2のグループのほうが1のグループよりも「鉛筆の握り方」が、しっかりしていることが判明。また、社会性のテストでも、よりスコアが高いことがわかった。
なぜ、このようなことが起こるのか? 理由は、血液中の鉄にあった。
これは出産後、へその緒を3分間長く繋ぐことで、ママの胎盤から赤ちゃんには104ミリリットル多めに血液が注がれることになる。これは大人でいえば1.9リットルの血液に相当する。このことからも、小さな身体に、かなりの鉄が補給されるのがおわかりいただけると思う。以前の研究でも新生児の鉄欠乏は、幼児期にADHDなど学習や発達の障がいを引き起こすリスクとして指摘されている。
しかし奇妙なことに、この発達の好影響が見られるのは男児だけなのだ。
これについてアンデルソン博士は「鉄欠乏は男児に多いのです。女児は、より多くの鉄を内包して生まれてきますから」と説明している。
WHOやイギリスの医療監視機関「NICE」でも、へその緒を切るのは最低でも出産後1分は待つようにアドバイスしている。また、2012年の「米国産婦人科学会」で、未熟児に対してのみ臍帯クランプを遅らせるよう採択されたが、今回の研究結果によりアンデルソン博士は「臨月で生まれた新生児についても、臍帯クランプを遅らせることは有益だと医学的根拠が示されたことになる」と述べている。
このニュースは、日本でもすでに医学情報誌等で取り上げられているが、まだまだ知られていないようだ。そのうち日本の産院でも「へその緒カットの3分待ち」をリクエストする親たちが出てくるかもしれない。
(文=佐藤Kay)
参考:「Daily Mail」、「Reuters」ほか
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