カメの祖先には甲羅がなかったことが判明! 爬虫類よりも恐竜に近い見た目に驚愕!

 もしもカメに甲羅がなかったら――。あの独特のイメージが崩れるだけではなく、浦島太郎も竜宮城へ辿り着くことができなかったはずだ。その「甲羅」が、もともとの祖先にはなかった可能性があるという。


■背中でなく腹側に堅い骨があった? 進化途中のカメ

カメの祖先には甲羅がなかったことが判明! 爬虫類よりも恐竜に近い見た目に驚愕!の画像1「パッポケリス」の想像図 画像は「Wikipedia」より

 ドイツ南部に位置するニュルンベルク近郊にある三畳紀中期(約2億4000万年前)の地層から発見された化石は、カメ独特の頭蓋骨をもつことから、現代のカメの祖先にあたる新種の爬虫類とみられており、ギリシャ語で「祖父」を意味する「パッポケリス(=Pappochelys)」と名付けられた。しかし、カメの祖先にもかかわらず、甲羅がないのだ!

 カメが進化するきわめて初期段階の生物であるパッケポリスは、背中ではなく「腹側に沿って堅い骨の壁をもっていた」こと、現在のカメのようなくちばしではなく「歯をもっていた」こと、体長は大人で20センチメートルに達していたことが調査によってわかっている。

 この化石が発見されたニュルンベルクの小さな町エッシュナウのこの一帯は三畳紀中期頃は湖だったとされており(現在は山岳地帯)、シュトゥットガルト州立美術館に所属する自然史の博士ライナー・ショッホ氏は「骨格から、彼らが湖岸に住み、頻繁に湖に入っていたことがわかる。浮力を制御するための頑丈な骨格と、下側の腹甲(胸当て)が身体を保護するようについていた」と語っている。

 これらの特徴は、体全体を甲羅で覆われていた最古の種とされている地上動物「オドンケリス」とも似ており、また、生息地帯も類似点がみられるそうだ。

 今回のパッポケリスの発見によってその骨格や生息場所などの条件から、現代のカメは、ヘビなどの爬虫類よりもむしろ恐竜や鳥に近い存在であるとの見方が強まっている。これは化石が記録されてきた40万年分のギャップを埋める新発見であり、今後さらなる研究が進められていくだろう。

 のんびり穏やかなイメージのカメたちにこんな過去があったとは驚きであるが、はたまた浦島太郎が確実に竜宮城へ行けたのかどうかも気になるところだ。
(文=ODACHIN)

参考:「Daily Mail」ほか

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