“ひ弱なサル”の近親交配が人類を生んだ?科学者「障がいや奇形こそ進化に重要な役割」

 優勝劣敗、適者生存、弱肉強食……。生物進化の頂点にある人間は、苛酷なサバイバルレースを勝ち抜いた最も優秀な遺伝子をもった種であるといえるが、決して“強い”種ではなかったという学説が注目を浴びている。古代の原人は虚弱で、仲間の協力がなければ生きていけなかったからこそ、今日の人類に進化できたというのだ。


■障がいや奇形の多い“ひ弱なサル”が我々の祖先!?

ひ弱なサルの近親交配が人類を生んだ?科学者「障がいや奇形こそ進化に重要な役割」の画像1画像は「Wikimedia Commons」より

 先頃、人類学系の学術論文サイト「Internet Archaeology」で発表された論文は、これまでの定説である現代総合説進化論(Modern Synthesis)に異を唱えるものになるとして話題を呼んでいる。この論文によれば、我々の祖先となる類人猿は“ひ弱なサル”だったと主張している。

 現在、生物の進化を説明するうえで定説となっているのが、ダーウィンの進化論を修正していくつかの学説を“総合”して組み立てられた「現代総合説進化論」だが、今これが人類学・社会学・古生物学・生態学・遺伝学といった幅広い学問の観点から疑問を投げかけられているという。なぜならば、さらに“総合”する要素が増えたからだ。

「適者生存」の“適者”は、必ずしも肉体的に強くて生殖能力の高い英雄的存在ばかりということではなく、人間の持つ言語能力や抽象思考能力、同情心や利他心の共有という特徴を鑑みれば、種としての試行錯誤のうちに新たな環境適応力を獲得した遺伝的に貧弱な“ひ弱なサル”のグループも含まれているというのだ。そして、進化論上に新たに現れたこの“ひ弱なサル”が最も密接に我々人類に関係しているという。

 さらにこの論文を紹介した「Daily Mail」の記事によれば、この“ひ弱なサル”から時折生まれてくる障がい児や奇形児が進化の重要な役割を担っていたことが指摘されているのだ。

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