【奇病】闇と沈黙の中でしか生きられぬ女 ― 安楽死の合法化を訴えるほどのダメージとは?
トカナでは、これまでも信じがたい症状を示す数々の「奇病」をお伝えしてきた。しかし、ニュージーランド人女性ジーナさんの身体を襲った症状は、それらの中でもとりわけ謎に満ちている。今月11日、英紙「The Daily Mail」などが報じた彼女の苦難の日々についてお伝えしよう。
40代半ばのジーナさんは、目隠しで光を避け、ヘッドフォンで音を遮断しながら10年以上生きている。彼女は、真っ暗な部屋から一歩も外出することなく、ベッドの上で寝たきりだ。それというのも、光と音は彼女の眼や耳、咽頭や関節に深刻なダメージを与える有毒な存在なのだ。
「強制的に暗闇と沈黙の世界に置かれています」
「私の筋肉は痩せ細り、もう声まで失いました」(ジーナさん)
ジーナさんと話すとき、話者は彼女の肌に指で文章を書き、彼女の側も指で同様にすることでコミュニケーションが成立する。極めて珍しい遺伝性疾患である可能性も指摘されているが、これまでのところジーナさんを担当した医師たちは、誰一人として症状の謎を解き明かせていない。また、発症後は悪化の一途をたどり、現在も一向に改善の兆しが見られないという。
今回、ドキュメンタリー番組への出演を決め、初めて自らの症状を公に語ったジーナさん。しかし、その理由は「自発的安楽死の合法化」を訴えるため。そう、自らの境遇に絶望した彼女は、もはや死ぬことを望んでいるというのだ。
「生きる希望は何もなく、せめて平安のうちに人生を終わらせる権利がほしいのです」
「お医者さんから、眠るように死ぬ薬さえいただければ、妹の手を握りながら穏やかに逝けます」
「憐れみ深い神様であれば、きっと人間が自ら生死を選んでほしがるはずです」(ジーナさん)
番組ディレクターは、人間の生死に対する考え方について、法律と人々の間で著しい乖離があることに気づき、ジーナの話によって議論を喚起する狙いがあったという。それにしても、苦しい症状の謎が誰にも解けないこの状況は、ジーナさんにとってどれほど不安で心細いものだろう。医学のさらなる進歩により、治療法が見つかる日が来ることを願ってやまない。
(編集部)
参考:「Loading Docs」、「nzherald.co.nz」、「The Daily Mail」、ほか
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