中国四大奇書・生物系三大奇書… 読むドラッグもとい、読むと発狂する世界の奇書5選
●『鼻行類 新しく発見された哺乳類の構造と生活』(平凡社/ハラルト・シュテュンプケ)
“生物系三大奇書”のひとつとも呼ばれる『鼻行類』。1941年に日本軍収容所から脱走し、ハイアイアイ群島に漂着した捕虜は、独自の進化を遂げた鼻で歩く一群の哺乳類(=鼻行類)を発見した。多くの動物学者に衝撃を与え、世間を騒がせた鼻行類の観察記録……というフィクション。ただ、生活スケッチや解剖図まで含む豊富な図版と、科学者らしい控えめな文体に、フィクションと気づかず読み進める人もいるようだ。
●『アフターマン 人類滅亡後の地球を支配する動物世界』(ダイヤモンド社/ドゥーガル・ディクソン)
上記の『鼻行類』同様、“生物系三大奇書”のひとつとされる『アフターマン』。5000万年後、人類が滅亡した世界を支配する、多くの動物が描かれる。温帯の森林と草原に10数頭の群れを作って棲む、背中に多数の白い斑点持つコモン・ラバック(ラバックはウサギの子孫という位置づけ)、チーターのような体つきをし、160km/h以上の速さで疾走可能なラピド、ソーセージのような胴体に、砂を掘るのに適した形の短い四肢が生えた食虫類の一種であるデザート・シャークなど。ちなみに、もうひとつの“生物系三大奇書”は、時空のあわいに棲み、われらの知覚を退ける(架空の)植物群を記した『平行植物』(工作舎ほか/レオ・レオーニ)。
●『デブを捨てに』(文藝春秋/著者:平山夢明)
奇書と呼べるかわからないが、筆者の独断と偏見で選ばせていただいた、今年刊行されたばかりの『デブを捨てに』。枯葉を集め“大麻”として売りつける子どもとの交流「いんちき小僧」、家族崩壊寸前の“ビッグダディ”的ストーリー「マミーボコボコ」、行き着けのバー“でべそ”を舞台とした、夏の日のコーラフロートのような頭のブス売女・ハラミになぜか惹かれる「顔が不自由で素敵な売女」、金が返せずボコボコにされた挙句「うでとでぶどっちがいい?」と迫られ、デブを捨てにいくことになる表題作「デブを捨てに」という4話からなる短編集。
なお、夢明のベスト短編は『独白するユニバーサル横メルカトル』(光文社)に収録される、脳みそを食べ続けることで知識を得た、メガトンデブ・オメガのオムレツ(糞)を掃除する「Ωの聖餐」だと思っている。
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