圧倒的スケール! 村上隆の五百羅漢図を見ると「妙に元気が出る」のはナゼ? 五百羅漢寺で探ってきた
■五百羅漢寺(目黒区)で、松雲の羅漢像と村上の羅漢像を比べてみた!
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さて、所変わって、五百羅漢寺である。本堂および羅漢堂には夥しい数の羅漢像が整然と居並んでおり、その光景は壮観である。だからと言って決して近寄り難い感じはしない。これらの像をよくよく見てみると、村上隆の《五百羅漢図》に負けず劣らず、実におもしろいのだ。
松雲の羅漢像は、その表情にしろポーズにしろ「十人十色」で、当時の人たちが夢中になった理由も分かる気がする。では、江戸の町民になったつもりで、「らかんさん」たちを見てみよう。
■光明綱尊者像
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まず、組んだ腕を枕代わりに居眠りをしている「らかんさん」は、光明綱尊者(こうみょうこうそんじゃ)である。筆者も学生時代、よくこういう風にして授業中居眠りをしたものである。もっとも、説明書きには「心をいつも平らかにし、気を和す」とあり、羅漢は高い境地に達しているのだ。とは言え、何だか本当に気持良さそうだ。
■羅睺羅尊者像
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中央の一段高い所に座しているのは「羅睺羅尊者」(らごらそんじゃ)である。自身の腹を開けて心の中を見せている。そう、村上隆も描いていた釈迦の息子である。「十大弟子」にも連なるほどの高僧であるが、キリッとした目鼻立ちをしたなかなかの美男子である。口元に微笑を浮かべ、ひときわ大きな耳もバランスが取れている。よく見ると、衣服の袖のあたりに少し青い塗料が残っているが、もともとは衣服全体が鮮やかな青色だったのだろう。身体を覆う金色と相まって、優美な配色である。さてさて、村上が描いた「羅睺羅」と比べてみて、いかがであろうか。
↓村上が描いた「羅睺羅」
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■馬勝尊者像
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写真中央でこちらを向いているのは「馬勝尊者」(ばしょうそんじゃ)である。縁起のいいその名前から競馬ファンに人気があるらしい。むろん実際にはそのような意味はないが、たしかに、その表情や仕草を見ていると、「大丈夫。今日のお前なら勝てる」と言われているような気がする。ちなみに昔は目黒に競馬場があったそうだ。
■頂生尊尊者
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この「らかんさん」は、満面の笑みがすばらしい。「頂生尊尊者」(ちょうせいそんそんじゃ)という名で、「自分が笑えば相手も笑う」とある。200年前、300年前の人たちも同じようにこの笑顔にホッとしたことだろう。なお言えば、こうした羅漢像は単に歴史的な遺産というだけでない。何かと多難な現代の世の中でこそ、この「らかんさん」の笑顔が生きてくるはずである。
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2024.10.02 20:00心霊圧倒的スケール! 村上隆の五百羅漢図を見ると「妙に元気が出る」のはナゼ? 五百羅漢寺で探ってきたのページです。斎藤誠、五百羅漢、村上隆などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで