「1億円のジャガイモ写真」と「0円のタマネギ写真」を比べてください。現代アートの価値を問う2枚の写真
■現代アートの値付け
その謎を解くべく日本のアートシーンを牽引する、自身でもギャラリストとして日本の作品を世界に発信する某アートディレクターは以前筆者にこう語っていた。
「現代アートというと、どこか敷居の高いイメージを持つ方がいらっしゃいますが、とにかく楽しむことを第一にして作品に触れ合って欲しいですね。値段を付けるのは我々専門家の仕事ですから」
さらに、「現代アートをわかりにくくしているのは確かにその価格の不明さですよね。この価値観が多様化している時代にそれは当たり前かもしれない。値段をつけるにあたって、『投資』のような考えが欧米では多く見られます。つまり、その作品だけでなく、その作家の一連の作品から価値を決めるというように。我々は1つの作品の背景にある、作家の意図や今後の展開まで含めて先行投資のようにプライスを決めるのです」と、実際にプライスをつける身として語ってくれた。
先にジャガイモ写真が高額写真ベスト20にランクインした旨を記したが、高額写真のランキングといえば何点もランクインしているアンドレアス・グルスキーの作品も有名だ。今では世界一の座を奪われてしまったが、約4億2000万円で取引きされた「Rhein Ⅱ by Andreas Gursky(1999)」は彼の作品の中でも特に有名だ。このライン川の写真は、より美しいイメージを作り上げるためにフォトショップで対岸に密集する建築物を消し去ったことでも話題になった。
■筆者も撮ってみた! ハウマッチ?
お互い納得できるのであれば第三者が口を挟むこともないのであるが、それにしてもジャガイモ写真の1億円は納得できない方もいるだろう。著者である私も現代アートを考えてみようと、アボッシュ氏の真似をしてジャガイモ写真を撮ってみようと思いたった。少しだけ写真に覚えがあるので、ジャガイモを撮ろうと台所をあさったところ、一昨日カレーを作った時に全部使ってしまったので、仕方なく残っていた玉ねぎを撮ることにした。
名づけて「Onion #001 (2016)」。アボッシュ氏はPhaseOneを使っているようなので、なるべく近い機材としてPentax645Dとストロボを使って撮影。
もし、なんの前書きもなくこの記事が、「一億円の玉ねぎ写真」というタイトルだとしたらなんとなく受け入れてしまうのではないでしょうか? それは言い過ぎだとしても、皆さん、もしこの「Onion #001」 買うとしたら一体いくらで購入されますか? ここはひとつ心をまっさらにして考えてみてください。現代アートを考える機会として、コメントなり頂ければ幸いです。もちろん一億円出してくださっても構いませんよ。
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2024.10.02 20:00心霊「1億円のジャガイモ写真」と「0円のタマネギ写真」を比べてください。現代アートの価値を問う2枚の写真のページです。アナザー茂、ジャガイモ、現代アートなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで