小保方晴子氏の「若山教授・黒幕陰謀説」は不当! 科学ライター2人が科学界のドロドロと手記について激論

■若山教授はファッションショーに出るべき!

山下 あの人は本当にすごい人なんですよ。それこそマウスのクローン移植の超有名な人なんですけど、彼自体も昔疑われたんです。でも彼は実際に自分のテクニックを見せたり、着実に論文として出して世界を納得させたんです。

 普通、「クローンマウスを作った」っていう衝撃的な論文が一本出ただけなら「嘘?」って思うものなんですよ。でもそこで、実験を重ねたり、矢継ぎ早に証拠を出したり見せたりして、ちゃんとステップを踏んでいったことで、今では一般的な知識になったんです。そんな人が犯人扱いされるのは、なんだかなあと思いますね。

――実験ノートとか証拠を積み重ねてきた人が、まったくそういうものを作れない人から犯人扱いされているということですよね。

山下 その逆転現象はかなりシュールな感じでしたけどね。

――そのあたりの事情を知らない人が手記を読んだら、まったく証拠がない人が書いているのにもかかわらず信じてしまうかもしれず、社会的にはすごい損失ですよね。出版によって若山さんのイメージが……。

川口 ここはやっぱり若山さんが出てくるしかない、ファッションショーとかの違うベクトルで。あったじゃないですか、佐村河内さんのゴーストライターだった新垣さんが、女性セブンでファッションモデルかなんかやって、一気に風向きが変わったでしょ。

 (伝えたメディアも)本当は悪いと思ってるんですよ。本人のキャラが面白いってのもあるけど、やっぱり罪悪感があるから起用したんですよ。こんないい人を悪者扱いしてごめんねっていう、“詫び”だと思いますよ。若山さんにも謝ってねって思います。

山下 待ちに待った手記だったんですけどね。

川口 あんまりだったね、もう少し裏があるかと思ったけど。

山下 結局、振り返っただけですからね。


――基本的に自分の言い分を並べただけだと。

山下 そう、ちゃんと辻褄が合うようにはしてあるんですよ。検証委員会がおかしいと指摘したところは若山さんのせいにして、自分にはそういうのが降りかからないような書き方にはなってます。

――事実に即しながら自分の論を展開しているということですね。

川口 あれはソシオパス(社会病質者)の特徴だよね。

山下 俺は触れないです。どうなんですかね、わからないですその辺は。一時期ツイッターとかでは話題に出てましたけどね。

川口 絶対に自分の非を認めない。

――そういう行動が見られるんですか。

川口 と、思いますよ。厳密にはわからないけど。チェックシートとかあるからやらせてみりゃいいんだよ、はっきりわかるから。

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・川口友万 サイエンスライター。富山大学理学部物理学科卒。著書に『大人の怪しい実験室』(データ・ハウス)など。
・山下祐司 ライター。北里大学大学院理学研究科修士課程修了。基礎科学から応用、先端科学までターゲットは幅広い。

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