ゴリラ射殺は正しかったのか? 理学博士語る、動物の優しさと本能とは?
アトランタ動物園の元園長テリー・メープル氏はナショナルジオグラフィック誌の取材に対し、「ハランベの行動はごく普通に見えた」と答えている。メープル氏によれば、オスのゴリラは赤ちゃんゴリラの足首や手を掴んで走り回ることがあるというのだ。しかし一方で、彼女は子どもの命を優先した動物園側の決断に理解を示している。
ハランベは子どもを守ろうとしていたのか、そしてそもそも、動物に人間を助けるような優しさがあるのか? 生物学に詳しい理学博士X氏はこう解説する。
「動物が飼い主や飼育係を助けたという事例は確かにあります。自宅で倒れた飼い主のため警官を呼んだ犬のニュースをつい最近もありましたね。目の前にいる困っている者を助けようという本能のようなものは、動物にも存在するのかもしれません。飼育されている動物の場合は、飼い主から褒められたいという利己的な行動かもしれませんが」
動機はどうであれ、動物にも他の動物を助けるような優しさが存在するのかもしれない。しかし、X氏はこうも釘を刺した。
「動物が人間を助けたことがニュースになるのは、それが珍しい出来事であるからに他なりません。ペットが飼い主などを攻撃して殺処分されることはよくありますし、動物園や水族館でも飼育員や客の死亡事故は頻繁に起こっています。先日死んだゾウのはな子もかつて死亡事故を2度起こしています。言葉による明確な意思疎通ができない以上、人間が動物と接する時には、常に事故の可能性を考慮するのは当然のことでしょうね」
今回転落した男の子は、事故直前に「ゴリラの囲いの中で遊びたい」と言っていたそうだ。ハランベがどのような気持ちであのような行動を取ったのか、我々に知る術はない。しかし、人間は“動物の優しさ”を過剰に期待し、安易な行動を取るべきではないのだ。
(吉井いつき)
※参考「DailyMail」
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