1300万円の巨大キノコ、15キロのエビフライ…写真史上最も変わったレンズ5選!
■巨大キノコ現る、驚異のプレミアレンズ Fisheye-Nikkor 6mm f/2.8
今でこそ「RICOH THETA」によって360°全天球イメージを簡単に撮影することができるようになったが、それに近い自分の背後まで写してしまう220°の広さを撮影できるレンズが1972年に販売されていた。「RICOH THETA」は実際には2個のレンズで撮影しているので、単体ではこの「Fisheye-Nikkor 6mm f/2.8」のほうがスペック的に上だ。まるでキノコのようで、レンズにカメラがついているといった感じの風貌。外見だけで言うのなら、えらくブサイクなレンズである。
専用ケースを見れば、よりその大きさと異様な形がわかるだろう。実物は長さ171mm、重さ5.2kg。これを装着して街を撮ることもできるが、腕力以上に勇気がいるだろう。
販売当時のキャッチコピーは「世界最広角魚眼レンズ」であった。このレンズは受注生産のうえ、当時の大卒者の初任給が5万円だった時代に60万円もしたことで生産台数が少なく、コレクターにとっては垂涎の一品なのだ。その証拠に、2012年ロンドンのカメラ屋にて約1300万円の値がついたようだ。
■蘇った伝説の名玉、Petzval
ロモといえば、トイカメラの代名詞的存在「ロモLC-A」に代表される激しい“周辺光量落ち”や、まるで別世界のような激しくビビットな色合いに見られる独特な世界観で人気を博している。1992年、伝説のカメラ「ロモLC-A」は民主化を成し遂げたチェコから世界へと発信すべく「Lomographic Society International(LSI)」社の設立を経て、世界中にその名を轟かすことになる。有名写真家の中でもロモグラフィーの愛用者は多い。
そんなロモは、同社があるウィーンで170年前に生まれた伝説のレンズ「ペッツバール(Petzval)」をクラウドファンディングを用いて現在に蘇らせたのだ。物理、数学をはじめ光学の分野で様々な功績を残したジョゼフ・ペッツバール博士によって開発されたこのレンズは、今からしてみれば単純な設計ながら画面中央はシャープ、背景がぐるぐると渦を巻くような独特のボケ味が特徴だ。
当時、その独特な描写が人気となり、ポートレートレンズとして評判を博した。今となっては伝説の「ペッツバール」レンズであるが、真鍮のボディにプレミアムロシアガラスレンズを搭載して外見そのままにパワーアップして復活したのがこの「New Petzval 85 Art Lens」である。
そして同社は、その第二弾として焦点距離が58ミリと標準レンズに近い「New Petzval 58 Bokeh Control Art Lens」を発売した。クラシックなデザインながら、最大の特徴であるボケ(Bokeh)量をコントロールできるように新たに生まれ変わり、世界中で反響を呼んだ一本である。その作例写真がこちらだ!
この独特なボケはまさに「ペッツバール」ならではといったものだ。「Canon EFマウント」と「Nikon Fマウント」に対応しており、デジタルカメラによる撮影も可能である。こちらのロモグラフィー公式サイトにて作例を見ることができる。最近では日本での代理店も増えたので、この癖になるぐるぐるを体験してみてはいかがだろうか。
ニコンのデジタル一眼レフとクラシックなデザインと最新デジタルカメラは意外なほどデザインがマッチしていて見ているだけでも美しい一品だ。最新技術と170年前の伝説のレンズの融合、これからデジタル技術が進んでいく写真界であるが、このようなコラボレーションは非常に素晴らしいことだ。
※「PetaPixel」
(アナザー茂)
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2024.10.02 20:00心霊1300万円の巨大キノコ、15キロのエビフライ…写真史上最も変わったレンズ5選!のページです。アナザー茂、カメラ、レンズなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで