ネッシーの残骸が岸に打ち上げられた?白い臓物まで…=スコットランド

 ちょっと出来すぎのような感もしてくる今回の“ネッシー騒動”だが、英「Daily Mail」などが伝えるところによれば、やはりテレビ番組の撮影で用意されたものであるということだ。……と、タネを明かされてガッカリした声も聞かれたが、一方、ということはまだネッシーは湖の中で生きているということにもなるのではと、希望を取り戻した向きも少なくなかったようだ。


■信ぴょう性を増してきたネッシー=巨大ナマズ説

 ネッシー調査・研究サイト「The Official Loch Ness Monster Sightings Register」を運営しているゲイリー・カンプベル氏によれば、最近またネス湖でのネッシー目撃情報は増えてきているということだ。特に昨年の目撃情報は5件と、この13年間で最も多い年になったという。

 19年間にもわたってネッシー関連のデータを収集しているカンプベル氏であるが、自身の見解としてはほとんどの目撃情報は大ナマズか大ウナギを誤認しているものであると考えているという。特に昨今、ヨーロッパオオナマズ(wels catfish)は各地で大型化しており、2m以上の個体が釣りあげられることも珍しくなくなってきている

 ネッシーの存在は、古くは565年の記録にさかのぼるといわれているが、目撃例が多くなったのは周辺一帯の交通事情が良くなった1933年以降であるとされている。そしてその翌年に発表された有名な写真が“外科医の写真(surgeon’s photograph)”だ。これまでにいくつものメディアで紹介されているので、ご存知の方も多いだろう。

 ロンドンの産婦人科医であるロバート・ケネス・ウィルソン氏によって撮影されたものであるが、当初は匿名で「Daily Mail」に提供したものの騒ぎが大きくなる中で、撮影者が突き止められてしまったようだ。だが、後にこの写真はでっち上げのイタズラであることが判明している。ウィルソン氏の臨終に立ち会った友人のクリス・スパーリング氏は、臨終の床で氏が「あの写真は作り物だった」と漏らしたことを公言したのだ。

 ということはネッシーは人々の願望とロマンが作り出した幻想なのだろうか? ネッシー研究の第一人者であるスティーブ・フェルサム氏もまた、24年にも及ぶ調査・研究の末、ネッシーと呼ばれているのは巨大なヨーロッパオオナマズであるという見解を昨年に示している。

 UMAファンには残念な方向へと傾きつつあるネス湖事情だが、やはりネッシーは夢とロマンの産物ということになってしまうのか……。そう結論づける前に、一度は“UMAファンの聖地”ネス湖に赴き、水面を見つめてみてはいかがだろうか。
(文=仲田しんじ)

参考:「Daily Mail」、「GrindTV」ほか

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
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