TPP開始で猛毒“殺人ヒアリ”が日本侵入の危機? 生態学者・五箇公一が語る「危険な外来種と昆虫宇宙起源説の真相」
——五箇先生のお気に入りの生物は何ですか?
五箇 私はダニが専門なので、クワガタナカセというクワガタの背中で生きてるダニになりますね。宇宙空間でもへこたれない頑丈さ、フォルムが好きです。私はダニの絵を描くのも好きで、このクワガタナカセのCGは天皇陛下と皇后美智子さまにも献上させていただきました。
——それはスゴいですね。
■日本上陸? 大人でも死に至る外来種ヒアリの恐怖
——日本に外来種はどれぐらいの数いるのですか?
五箇 目で見てわかる数で2000種類以上。ダニや菌、細菌など目に見えない種を入れるとその総数はわかりません。日本におけるモノと人の出入りを考えると外来種が増えるのは防ぎようがありません。
五箇 こちらは外来種のヒアリという毒を持ったアリで、もうすぐ日本に上陸するのではないかといわれています。なぜならここ数年でこのアリは原産地南米から太平洋沿岸諸国を次々に席巻し、今では中国、台湾にまで来ており日本に辿り着くのは時間の問題とされるからです。グローバリゼーションの影響で、船や飛行機で運ばれて入って来てしまう。乾燥した環境を好むので都市環境に適応し、その毒性はスズメバチと同程度に強い。100匹に刺されたら大人でも死んでしまうかもしれない。南米から北米に侵入してからの歴史は長いのですが、北米では現在でも毎年8万人ほどが刺されケガをして、100人が死亡してると報告されています。日本も侵入が防げなくても増えることを防がなくてはならない。すぐに見つけて叩かなければいけない。
——恐ろしいアリですね。港など水際では防げないのですか?
五箇 今の日本では100%侵入を防ぐ、というのは困難です。TPPが始まれば、さらに輸入の自由化を促進しなければいけない。検疫はきっと間に合いません。日本は食べ物や木材など有機資源を輸入に依存している国です。外来種が入り込むリスクが高いのです。こうした日本のリスキーな状況をできるだけみなさんに知ってもらわなければいけないんです。
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五箇公一(ごか・こういち)
1965年、富山県生まれ。国立環境研究所生態リスク評価・対策研究室室長、農学博士。京都大学農学部卒業、京都大学大学院昆虫学専攻修士課程修了。宇部興産株式会社に入社し、殺虫剤、殺ダニ剤を開発する。1996年から国立環境研究所にて生物多様性の研究や法律改正などに関わる。著書に『クワガタムシが語る生物多様性』(創美社/集英社)などがある。
松本祐貴(まつもと・ゆうき)
1977年、大阪府生まれ。編集者・ライター・世界のマイナー酒・居酒屋研究家。大学在学中からライターをはじめ、その後、雑誌記者、出版社勤務を経てフリーで活動する。テーマは旅、酒、サブカル、趣味系など多数。初の著書『泥酔夫婦 世界一周』(オークラ出版)が発売中。・ブログ~世界一周~旅の柄:http://tabinogara.blogspot.jp/
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2024.10.02 20:00心霊TPP開始で猛毒“殺人ヒアリ”が日本侵入の危機? 生態学者・五箇公一が語る「危険な外来種と昆虫宇宙起源説の真相」のページです。TPP、松本祐貴、五箇公一、ヒアリ、昆虫宇宙起源説などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで