“新種”の炎「青い渦」が発見される! 効率的でクリーン、超画期的な応用方法と深刻な懸念とは!?

■高まる期待:海上へ流出した原油を焼却

 将来への期待が高まる「青い渦」だが、これを生み出すためには酸素の供給量や流れを慎重に調節する必要がある。当初は炎の上に半円筒の石英を2枚置くことによって、らせん状の青色の炎が生まれることを確認するにとどまっていたが、研究の進展に伴って具体的な活用方法も考案されていった。

 研究者たちは油類の流出を想定した実験を行い、炎がその中心部に油膜を吸い寄せ、目視が可能な油が除去される様子を観察した。また、実験後にバーナーを使って設備をあぶったが、そこにはまったく油が残っていないことが確認された。

 実験結果は、2010年のメキシコ湾原油流出事故のような海洋汚染の現場で「青い渦」が活躍する可能性を示していた。汚染された海上には、通常油とともに毒性のあるガラクタが浮いており、通常の炎でそれらを焼却すると汚染を拡大してしまう恐れがあった。だが「青い渦」は油だけを吸い上げ、しかも無煙で燃えるので、このケースではまさに理想的な解決法なのだ。

■今後の課題:懸念の声も

 現在、研究者たちは「青い渦」の規模を拡大して、海の上での連続した燃焼が実現できるかどうかを確かめる必要性を感じている。成果の公表に踏み切った背景にも、そうした研究に第三者の参画を促す狙いがあったという。

 論文の著者のひとりであり、防火エンジニアでもあるマイケル・ゴルナー氏は語った。

「火災旋風は長いあいだ、とびきり恐ろしく有害なものとして考えられてきました。ですが、電気のように正しく扱えるようになるとしたら、いったいどうなるでしょう? 私たちは火災旋風への理解を深めることで、それを手の中に収め、操れるようになるのです」(マイケル・ゴルナー氏)

「青い渦」の実用化は、世界のエネルギー政策に大きな変化をもたらすだろう。ただし海外メディアの記者は、ギリシャ神話に登場するプロメテウスの名前をあげ、若干の懸念も表明していた。新技術が兵器に応用され、破壊のために使われるのではないか、という懸念だ。

 プロメテウスは人類のために天界の炎を盗んで人類に与えた。人類はひとまず幸せになったが、やがて炎からは破壊や争いも生まれるようになった。高度な技術にはリスクがつきものだということを、神話は伝えているのである。
(文=Forest)

参考:「Mysterious Uiverse」、ほか

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