エイリアン顔の男、顔面の細胞増殖が止まらない
細胞増殖が止まらない顔面、歯が粉砕され耳も聞こえなく…! “エイリアン顔”の男、支援を訴える=中国
今回紹介するのは、英紙「Daily Mail」が報じた中国に住む「エイリアン顔の男」の話題だ。中国南西部に位置する重慶付近、過疎の村に暮らすシャ・ユアンハイさん(53歳)は稀な症状である「顔面過形成」を抱えている。肥大した頭部は明らかに異常であるが、ユアンハイさんは一度も医者に診てもらった事がないのだ。

■過形成(hyperplasia)とは?
ユアンハイさんの顔は、十代の頃まではごく普通の大きさだった。しかしその後、徐々に大きくなったと兄のユアンチャンさん(66歳)は語る。病院まで遠いことと、高額な治療費もあり、彼の家族はユアンハイさんを医者に診せることができなかった。しかし最近でも、ユアンハイさんの顔は確実に肥大し続けており、ついに歯が粉砕されて耳も聞こえなくなってきている。もう一刻の猶予もない状態なのだ。
過形成(hyperplasia)とは、外来の刺激に呼応して細胞増殖が起こり、組織が増殖する症状である。通常よりも細胞の数が多くなった状態であるが、腫瘍とは異なり、細胞の形態は正常組織と同様である。例えばラケットを持つ手や、靴が当たる足の部位に“たこ”ができるが、これも過形成の一例である。このように無害な過形成もあるが、慢性的な炎症反応やホルモン機能障害、あるいは他の病気などが重なり、異常な様相を示す可能性もある。
兄のユアンチャンさんによると、中国の病院での治療費は恐ろしく高額で、貧しい農民の彼らにはとても払える額ではないと言う。しかし、何とか弟の人生のためにも、手術に十分な資金を調達したいとのことだ。
■はたして治療が受けられるのか?
これだけ頭部が拡大してしまうと、首にかかる重量も並大抵ではないだろう。また、一度聴力を失ってしまえばユアンハイさんの生活はますます厳しいものとなってしまう。今回のように海外メディアのインタビューを受けたのも、少しでも手術のための資金や治療を受ける手がかりになればいいと考えてのことと推測される。
中国における富裕層の贅沢な暮らしぶりや、旅行客の「爆買い」の凄まじさは、メディアで頻繁に報じられる。しかし、それはあくまでも一部の人々の話であり、こうして重病を抱えながらも病院に行くことさえできない貧しい農民も中国にはまだまだ多いのである。
中国やインドからは、病気によって驚くような外見になってしまった人のニュースがよく届けられる。その原因は、やはり激しい貧富の差や、医療システムの未発達にあるのだろう。ユアンハイさんが聴力を失う前に、中国政府あるいは医療関係者から何らかの手が差し伸べられることを期待したい。
(文=三橋ココ)
参考:「Daily Mail」、「The Sun」、ほか
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